親であり家族でもある 日野南の大多良稲荷
住宅街に囲まれたわずか5坪ほどの敷地にひっそりと佇む「大多良稲荷(おおたらいなり)」―。地域の農家が数軒集まって”講中(こうじゅう)”を組み、平安時代から守り継いできたとされる日野南2丁目の稲荷で2月6日、稲荷講が粛々と行われた。
稲荷講とは、地域の農家の守り神である稲荷にその年の安全と作物の豊かな実りを祈り、講中が初午の日(毎年2月最初の午の日)に参拝するというもの。かつて、子ども達はこの日になると赤飯を弁当箱につめてもらい学校に行ったり、稲荷講が終わると講中の中から持ちまわりで決められた当番が皆を自宅に招いてご馳走をふるまうなど、特別な一日だったそうだ。
講中の代表を務める荒井秀利さん(60歳)は、「今ほど娯楽がなく、日々の生活にあまり変化のなかった時代。正月やお盆と並び、子ども達にとって稲荷講は一年でもっとも楽しみな行事の1つだった」と当時を懐かしむ。現在は旧農家など近隣の13軒が講中を務め、事あるごとにお参りするほか、日頃から鳥居や社の修繕などの管理を行い、「産土の神」として大切に受け継いでいる。
荒井さんは、「稲荷は講中の皆が誇りに思っているもので、エネルギーの源。かといって、”自分達が守らなければいけない”という特別な意識はない」と語る。その理由は「稲荷は親であり家族のような存在」だから。「互いに守ったり守られたりというのは、ごく自然のことなんです」。
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