手話や表情と、歌声で音楽を表現する合唱団「ホワイトハンドコーラスNIPPON」が3月25日、神奈川県庁でパフォーマンスを披露した。神奈川県から参加するメンバーの照井沙空(さら)さん(小学2年)は「みんなで同じ手話をするところが楽しかった」と声を弾ませた。
同団は聴覚や視覚など障害の有無に関係なくどんな子どもも参加できる、インクルーシブな合唱団。歌で表現する声隊と、手話がベースの「手歌」で表現するサイン隊が同じ舞台に立ち、一つの作品を作り上げる。白い手袋を着用して表現することが「ホワイトハンドコーラス」の由来だ。東京、京都、沖縄の3拠点で活動を行っている。
2月には、バリアフリーの国際賞「ゼロ・プロジェクト・アワード」を受賞し、オーストリア・ウィーンにメンバーとスタッフ約100人が渡航。国会議事堂やベートーベンが交響曲第九番を作曲したといわれる建物で演奏した。国連事務局では「第九」の第四楽章「歓喜の歌」をドイツ手話も取り入れ披露。スタンディングオベーションや大歓声が送られた。
県庁でのパフォーマンスは、県議会の手話言語普及推進議員連盟とユニバーサルスポーツ振興議員連盟が共催し、共生社会の実現を目指す県で演奏してもらおうと実施。ウィーンからの凱旋公演として、黒岩祐治県知事や県議、関係者らを前にメンバーは「何ができないのかではなく、何ができるかを見てください」とあいさつ。計4曲を披露し、会場内は大きな拍手に包まれた。
代表理事・芸術監督のコロンえりかさんは 「聴力を失ったベートーベンが作曲した地で、手歌の第九を届けることができたのは誇り。ウィーンで経験を積んだ子どもたちに、日本の共生社会のロールモデルになってもらいたい」と語った。
県内唯一参加の照井さん
合唱団に県内から唯一参加するのが照井さんだ。サイン隊に所属する照井さんは小1から活動し、仲間とともにパフォーマンスを磨いてきた。県庁の演奏では初めてのソロに挑戦。「手話を覚えるのをがんばった。楽しかった」と声を弾ませた。好きな手話はオリジナル曲『にじふらい』に登場する数字の7。弧を描くと「虹」の意味になる。
ウィーンの観客が「声も出して喜んでくれた」のが印象に残った。今後はMCに選ばれるようになり、合唱団の活動を広めていきたいという。
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