中田宏インタビュー飯田県議とそえだ市議に聞く 地方議会のあり方 企画・製作/日本の構造研究所
今回は無所属で活動する私の元秘書で、宮前区選出の県議「飯田満」さんと市議「そえだ勝」さんとで、「地方議会のあり方」について、対談を行いました。
無所属活動の苦労
中田:飯田県議とそえだ市議は、無所属で活動していますが、政党や関係組織団体の支援がない活動は大変でしょう。
飯田:政党に所属していれば、政党特有の支援、協力を得ることができますが、無所属にはそうしたものは一切ないですね。16年間、そんな協力とはほとんど無縁の中で活動して来ました。
そえだ:そうですね。まさに、孤軍奮闘という状況を余儀なくされる立場ですから、その点では、苦労も多いですね。でも、その分、やりがいもあります。
無所属のやりがい
中田:「やりがい」という言葉がありましたが、それは具体的にどんなことでしょう。
そえだ:共感して下さった地元のボランティアの方々からお力添えを頂けることがやりがいです。何かの見返りを求める人達ではなく、純粋に「そえだを支えたい」と思って頂いている方々ですから、本当に有り難く感じています。
飯田:私の周囲の方々も、純粋に「県民のために働いてほしい」という方々が大多数なので、特定の組織、団体との利害関係は無く、県議会で堂々と政策論争ができています。
無所属の意義
中田:よく国政では、「政治は数」と言われますが、地方ではその論理は成り立ちますか。
飯田:地方議会は政党所属の人数ではなく、「会派」の所属数。県議会は国会と違って「議員内閣制」ではありませんので、与野党というのは存在しません。「知事与党」という言葉も聞きますが、知事の提案が全て通るものでもなく、基本、是々非々です。
私は現在、保守系無所属の会派「県政会」(所属議員数6人)で活動しています。無所属だからこそ、バランスの取れた公正中立のポジションにもいられます。
中田:なるほど。私も横浜市長の前は無所属の衆院議員として活動していましたが、その時は、自民党の小泉首相と民主党の鳩山代表の仲介役をよくやっていました。こうした役割を果たす人も物事を前に進める上で必要だと思います。
そえだ:市議会の場合は、市民代表という要素が強いため、どう市民の代弁者たるかということが重要になります。
中田:そういえば私も横浜市長時代に経験しましたが、一部の議員には、「それって本当に市民の声?政党の指示じゃないの?」と思う場面が度々ありましたね。
飯田:政党代弁者という立場だと、純粋に市民の声を届けるというよりも、どうしても政党のフィルターを通しての発言になってしまいますね。
そえだ:やはり、行政代表が知事や市長であり、県民・市民代表が県議・市議ですから、「市民だけの代弁者に徹することができる」ということが無所属の意義の一つだと思います。
中田:地方の場合は、首長と議員という二元代表制ですから、「純粋に県民・市民の代弁者」という存在も不可欠だと感じます。無所属の存在意義はまさにそこにあり、欠かすことができないと思います。
無所属だからできる政策提言
中田:政策的には、飯田県議は元甲子園球児として、市議時代から今日までスポーツ・教育・医療問題に力を注いで来た。そえだ市議は介護ヘルパー時代や松下政経塾時代から介護問題について、ものすごく深掘りしてきましたが、無所属だからできる政策提言についてはどのように考えていますか。
飯田:私は市議時代からスポーツ環境整備や財政、教育、医療問題に取組んでいました。等々力陸上競技場のネーミングライツ(施設命名権)導入は、阿部前市長と論戦を繰り広げ、現在の導入に至っていると自負しています。また、医療分野では、病床の適正配分、川崎市の病床は正直、足りていない。配分を増やしていこうと努力しています。しかし、それだけでは限界があるため、そえだ市議が推進する、「逆介護保険」で元気高齢者を増やしていくことも、後押ししています。そして、本当に治療の必要な人や産科・小児・救急病床等の確保、真に守るべき人のためにも、病床増床には、今後も注力していきたいです。
そえだ:「逆介護保険」とは、今の介護保険はヘルパーにとっては、一生懸命介護をして高齢者を元気にすると、報酬が減るという矛盾した制度です。それを逆転させ、介護度改善に対し報酬増を目指すから、「逆介護保険」です。その推進により、元気高齢者を増やし、限られた資源である、病院の病床を持続可能なものにしていきたいと考えます。
その点で、「逆介護保険」だけでは賄いきれない、介護状態改善可能性の低い人、いわば、本当に守るべき方々への最後の砦として、飯田さんの病床増床の取り組みは応援したいと考えています。
中田:二人の政策には連携性があることがいいですね。しかし、「何かを変えたい」と思い政策提言する際は、必ず、不利益になる人や団体は出てきます。それが所属政党を支援する団体だとしたら、いくら県民市民に有益であっても、どうしてもそこに配慮せざるを得ず、いわば「総論賛成・各論反対」という状況はしばしば散見されます。その点で、無所属はそうしたしがらみはなく、純粋に県民市民のことのみを考えた、真の政策提言ができます。引き続き、二人には政党や特定団体を見るのではなく、県民市民を見て、行動し続けて下さい。
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5月3日
4月26日