宮前ガバナンス6月号 連載寄稿 ちょっと待った!川崎市から見た、ふるさと納税論 〜川崎市は、「看過出来ない」宣言〜 川崎市議会議員 石田やすひろ
全国津々浦々、ふるさと納税が盛り上がりを見せています。応援したい自治体に寄附をすれば、Wで恩恵を受ける仕組みです。1つは、所得税や住民税に対して還付・控除が受けられます。条件付きで、合計寄附額から2000円を引いた額の税金が、住んでいる市から控除されます。2つは、寄附した自治体から返礼品を貰えます。
この仕組みに対して、川崎市が「看過できない」と言っている理由は、次の理由からです。川崎市民が他の自治体にふるさと納税をすると、本市の税収が減少する財政上の問題からです。本年度は、川崎市民以外の方が、本市にふるさと納税をしてくれる額は、約2億円(年間)を見込んでいます。一方、川崎市民の他の自治体へのふるさと納税による市税の減収額は56億円(年間)です。
その差は54億円です。つまり、相当する市民サービスが失われる事を意味します。市民サービスに影響が生じないよう、令和元年度予算では収支不足による115億円を減債基金から取り崩して、予算を編成しています。つまり、ふるさと納税の影響額は、実に収支不足の半分に相当し、それを借金して穴埋めをしている現状だと言えます。
ふるさと納税の本来の趣旨は、生まれ育ったまち等に対して、まちづくりの施策に役立ててほしいという思いから、寄附する制度です。しかし、一部では、返礼品の「お得感」だけで、寄附をする市民が増えているのも事実です。
他都市では、少しでも税収を伸ばそうと「返礼品競争」へと走っています。これに対して川崎市では、この競争に参加しないスタンスをとっています。この制度は、決して悪いものではありません。大事なのは、本市の魅力ある施策を市内外に広く発信して、寄附をしたいと思って頂ける人を増やす事にあります。ここで国の制度の見直しの動きもありました。引き続き、この制度を見守って参ります。
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4月26日
4月19日