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マグロに恋して50年 まぐろ間二
築地市場の朝は早い。午前3時から、約2千本のマグロが一斉に並ぶ。その後「下付け」と呼ばれる、マグロの尾だけを見て行う値付けをし、仲買人に依頼する。「女性はどんなに細くても痩せていたいと言いますが、マグロだけは丸々太っていなければいけません」と笑顔で話す。一目で、どれが美味しいのかを見極める。この買い方を「一本買い」という。一本のマグロを12等分したブロック買いが主流だが、良い品を安く売ることができるのは、この一本買いだからこそ成せる技。しかし、「素晴らしいと思って買っても、10本に1本くらいは外れるんだよね。外したときのワリキリ方はね、良いと思って結婚した女房と一緒だよ。50年経ってもわからない」とにやりと笑う。「こう思えば気持ちも楽になるでしょ」
手広く「ときわ寿司」を展開。多い時は市内に9店舗を構えていた。商売は失敗したが、マグロには自信があった。裸一貫、間口二間から始めた「まぐろ間二」は現在1店舗のみ。本当に美味しいものを求めて、遠くても来てくれる。店舗を増やすのではなく、本物を追求したい。「マグロはね、株やギャンブルなんかと同じ、なんていう人もいるね」。仲買人との駆け引きが重要だ。細かい計算ではなく、ここぞという時の勝負感。すべては、買いに来る人たちに旨いマグロを食べてもらいたいという思い。
もう一つの顔
倒産後「0」になり、一から再スタートした経験をもとに、商売の道で「有(あり)・順(じゅん)・平(ぺい)」を座右の銘とする。「金が 有 り、仕事は 順 調、家庭は 平 和」、この3つが揃う人を今まで見た事も聞いた事もない―。この考えを、後続の商人を志す人の役に立てればと現在、本を執筆中だ。
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