▽英国の政治家、ジェームズ・ブライスの「地方自治は民主主義の学校」という言葉が、今の大和市にしっくりとくる。住民が地方政治に関心を持ち参加することで、住民の意思を行政に反映させる。ひいては民主主義の基本理念が学べるという考えだ。首長や議員を選ぶ選挙、陳情や請願、住民投票、リコールなど地方政治に参加する手法はいくつもある。首長といえどもこの仕組みを変えることはできず、ましてや選ばれた首長が全て正しいという理屈にはならない。
▽6月定例会で、賛成19、反対8のダブルスコア以上で議会が可決した、行政に対する「決議」は、議会が自らの権能を発揮して住民本位の政策を実施するよう求めた、極めて重い意思表示だといえる。大木市長には、この決議のを重く受け止め、議会が示した政策を遺漏なく実行してもらいたい。そもそも、千を超す市の事業は首長や議員、職員のための仕事ではない。大和市に暮らす23万人の住民のために成されるべきものだ。それさえ肝に銘じれば、健康的な行政運営が実現できるはずだ。
▽大木市長は今年度の施政方針で「選挙で選ばれた市長が進める政策はより多くの民意をあらわしている」「市政運営はトップが判断し議会の理解を得ながら施策を実現する」と述べた。県議を12年間も務めた大木市長であれば誰よりも理解しているだろうが、地方議会は首長の追認機関ではない。議会は行政の基本的な方向性を議決して、その執行を監視し、議会内での合意形成による政策提案で首長を動かすことができる。いわば住民を代表する極めて重要な機関だといえる。
▽緑野青空子ども広場の一方的な廃止決定や事業の進め方が問題視される大和駅東側第4地区への公共施設整備、個性的なスポーツ振興策など、大木市政2期目の行政運営を懐疑的に見る住民も少なくない。いずれも市長の強いリーダーシップや不断の政治判断による、大和市にとっての重要事業だと推察するが、その推進にあたっては、住民の声でもある議会の声に謙虚な姿勢で耳を傾けていただきたい。大木市長の決議への対応が、大和市の今後の地方自治に悪影響を及ぼさないよう願うばかりだ。
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