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「大和」誕生から130年 思いは今につながる

文化

掲載号:2021年10月29日号

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 中山毎(つね)吉に、新しい村名として「大和」を提案した山口寛一とはどんな人物か。

 1836(天保7)年上草柳村に生まれた山口は、江戸の昌平黌で学んだのち、1857(安政4)年に故郷に戻り、父の代わりに名主となっていた。勝海舟に私淑し、幕末の江戸無血開城となった勝と西郷隆盛の会談場所探しに奔走したとされている。

 山口は1874(明治7)年に発布された学制下で「学区取締」に任命される。学区取締とは学校の設立、就学の督励、教員の雇用、教科書の普及などの任務を負う実施責任者のこと。地域の要職を担っていた山口がこの時期、傾倒していった活動が「自由民権運動」だ。

 自由民権運動は、1880年前後に国会開設や憲法制定、言論・集会の自由を求めた政治活動のこと。板垣退助らの活動が有名で、運動は士族から地主、商工業者、農民へと幅広く浸透し、次第に全国的に広がっていった。

 運動はこの村域でも2〜3年ほど遅れて広がりを見せ、1883(明治16)年に民権結社「真友会」が創設され、山口は創設者の一人として名を連ねている。明治政府の意向で1884年5月に誕生した4村(下鶴間・深見・上草柳・下草柳)による連合村、そして市町村制施行に伴う「鶴見村」の誕生は、地域がまさに自由民権運動で盛り上がりを見せ始めていた頃だった。

 「大和」誕生のきっかけとなった分村問題が起きた理由の一つに、旧下鶴間村と旧深見・上草柳・下草柳の3村との間の気風や民情の違いがあった。中でも気風の違いは、自由民権運動という新しい政治思想の出現も影響を及ぼした。熱心な活動家らは学習活動とともに武芸にも熱中、「鶴間壮士」と呼ばれており、これが「質朴従順」な農村地域の3村の人たちには「粗暴過激」な青年壮士の養成と映ったとしても不思議ではなかった。

 当時50代の山口は地域の代表である名主として、教育の普及に勤しんだ責任者として、そして新しい日本を想う活動家として分村問題を憂い、和解の道を探していたはずであり、村名の変更が重要であることを悟っていたはず。学区取締時に親交のあった若い中山に、次代の扉を開く任を託した可能性は高いと思われる。

 村名変更などを条件とする和解案に、山口は上草柳部落の代表の一人として署名している。

※  ※  ※

 分村問題をきっかけに130年前に誕生した「大和」。「大いに和する」の思いを込めた名だが、130年の間に2度、消滅の危機があった。

 一度目は、村名が「大和」に決まった7年後の1898(明治31)年。

 この時の原因は、前年から流行し始めた赤痢のため隔離病舎の建設問題。喫緊の課題である病舎建設について、1つの村で建てることを主張する下鶴間側と部落ごとに建てることを求める3部落の間で対立。3部落側の全議員が辞表を提出する騒ぎとなり、村議会がマヒ状態に陥った。再び県が仲裁に入ったが今度は失敗。結果、1899年4月から1900年5月まで村長不在となるなど、「鶴見村」の時以上に分村問題は加熱した。

 県は高橋周徹郡書記を派遣し、村政を代行。1900年5月の村議会で村長を無休の名誉職から有給職とし「事務熟練なる」人材を充てる条例を提出。深見学校の初代校長だった新井蔵之助が2代目村長に選任され、ようやく沈静化へ進んだ。

 もう1度は昭和の大合併による「高座市構想」。1956(昭和31)年1月、村から町へとなっていた大和町と渋谷村、座間町、海老名町、綾瀬町の5カ町村合併による高座市構想が議論されていた。この時、大和町は構想案に積極的だったが、海老名町、座間町が消極的だったことから、町村合併促進法の期限である1956年9月30日に間に合わず、「高座市」は実現されれなかった。大和町は合併に唯一積極的だった渋谷村と合併。1959年2月1日、現在の大和市が誕生した。「大和」の名は、「大いに和する」精神とともに今に生き続けている。

〈参考資料/大和市史3、大和市史ダイジェスト版、大和市史研究18、協力/鎌田幸雄〉

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