徒然想 連載307 花のお寺 常泉寺 住職・青蔭文雄
今月は、善者に親附(しんぷ)するは、霧露(むろ)の中を行くがごとく、衣(え)を湿(しめら)さずと雖(いえど)も、時時(じじ)に潤(うるおい)有りです。
出典は中国、唐代、い山霊祐(いざんれいゆう)著、『い山警策(いざんきょうさく)』。
意は、道を学ぼうという人が、善き友人や優れた指導者に親しく教えを受け、高誼(こうぎ)深くしていけば、だんだんと学ぶべきものが身についてくる。例えて言うならば、人間が霧や露の中を歩いているうちに、自然と衣服が湿ってくるようなものです。
この文言は、師が修行者の心構えを教えた中に現れるものです。人間は誰でも怠け心をもっている。何かを成しとげようと思えば、強い意志を必要とする。それを一人でも貫ける人もあれば、一人ではすぐに断念してしまう人もいるのです。
そんな意志の弱い修行者に、師は優しく、親切に諭している。優れた指導者に学びなさい。よい友人をもって共に努力しなさい。一人でできないことが、真の友人の励ましによって、あるいは友人の手本に見習って、段々と自分にも、やればできるという自信がでてきすまよ。そうやっていく中で、なぜもっと早くやらなかったのかと思うほど、興味が湧き、自らやろうと思い立つようになると、師は教えています。
桃蹊庵主 合掌
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