湘北短期大学の学長に４月１日付で就任した 宮下 次衛さん 藤沢市在住 61歳
ソニー一筋 ぶれない熱意
○…「社会に出てほんとうに役立つ人材を育てる」を教育理念に、ソニーの創業者の一人、井深大氏が魂を込めて開学した湘北短期大学。「60歳を過ぎたニューフェイスですけど、よろしくお願いします」と快活に笑う。４月１日の入学式では、新入生４７４人を前に「２年間は社会へ大きく羽ばたくための助走期間。自立した社会人になれるように大学はみなさんを支援し、しっかりとナビゲートしていきます」と挨拶した。
○…１９５０年、鹿児島県出身。九州大学を卒業後、ソニー一筋39年。「何となく面白そうな会社だな」と、福岡の営業所を訪ねたのが入社のきっかけ。最初の５年間は、電気店を回りソニー製品を売り込む営業職。その後も、セールスやマーケティング畑に長く身を置いた。印象に残る仕事は一世を風靡したウォークマンのマーケティング。「仕事で苦労したという感じはありませんでした。とにかく楽しかったですからね」と、身を乗り出して話す。
○…『ぶれない、逃げない』がモットー。「自分から率先して仕事をしないと、部下はついてこない。上司のことをけっこう見ていますから」。これまで転勤した職場は延べ14〜15カ所。引っ越しだけでも10カ所以上。その中でカナダの現地法人副社長やグループ会社の社長も経験した。「困ったら現場に答えがある」と、社長時代も社員と一緒に日本全国の電気店を回り、現場主義を貫いた。
○…妻と出かける鎌倉散策やクラシックコンサートが息抜き。「営業マンとしてやらなければならないことは一通り、広く浅くやりますよ」と、ゴルフもお酒も読書も人並み程度という。これからの夢について水を向けると「預かった学生を精神的にも経済的にも自立させてあげること」ときっぱり。「井深さんが創った会社と短大で働けるなんてサラリーマン冥利。ワクワクしていますよ」。ソニーへの愛情と、笑顔の奥にひたむきな情熱を感じた。
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