8月に初の世界選手権で優勝するなど躍進を続けるレスリング選手 香山 芳美さん 逗子市小坪在住 17歳
夢を目標に変えて
○…「勝つしかない」。初めて上がった世界選手権の大舞台。胸の内に去来したのは勝利への純粋な渇望だった。身長160センチ。カデット級の選手としては決して体格に恵まれた方ではない。身長、体重、手足の長さ。体格では自分を上回る選手ばかりだった。「正面からぶつかり合ったら負ける。先手だ」。相手選手の”返し”をかわしながら持ち味の鋭いタックルを武器に激戦を勝ち抜いた。「五輪選手だけじゃない。日本の女子選手はみんな強いんだと証明したかった」。
○…小学校1年生の時、市の体験教室に参加したのがきっかけでレスリングを始めた。「勝つか負けるかはっきりしてる。でも自分より強い相手に必ずしも負けるわけじゃない」。次第にそんな競技の魅力に惹かれていった。6年生の時、全国選抜で連覇を成し遂げた。4年生まで優勝経験はなかったが、複数のクラブに所属し、練習量を増やした結果だった。「練習増やすなんて絶対嫌だったけどお父さんがぬいぐるみを2つ買ってくれるって言うからつい」と振り返る。だがその”勝利の味”こそが自身を一層競技に没頭させた。
○…高校はレスリング強豪校の双璧として知られる安部学院に進学した。中学までとは比べ物にならない練習量。中には逃げ出す選手もいるほどだが、「こなした自信が試合に生きる」と練習には常に真っ向から向き合う。現在は地元を離れ、選手7人と寮で共同生活。つかの間の息抜きは寮生と映画を観たり服を買ったり。漫画も好きでよく読むのは「恋愛ものですかね」と年頃の笑顔がのぞく。
○…幼少の頃から五輪出場を夢みてきた。しかし世界選手権で優勝した今、見える景色が少し変わった。「全く手が届かないわけじゃない。今は目標。本気で目指したい」と迷いはない。最後にレスリングとは自身にとって何かと問うとこう結んだ。「絶対にあるもの。レスリングがなかったら自分じゃない」。
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