「おひさま紙芝居や」を主宰し10年来、地域の子どもたちに紙芝居を読む活動をしている 潮村 由紀子さん 逗子市桜山在住 47歳
聞き手と作る面白さ
○…カン、カン――。拍子木のなる音が境内に響く。これから紙芝居の始まる合図だ。子どもたちがひとり、また一人と集まってくる。「さぁ、今日のお話はね…」。懐かしい、昔ながらの祭りの景色がそこにあった。地域の子どもたちに紙芝居を読み聞かせる「おひさま紙芝居や」を始めて10年。祭りやイベント、小学校などお声がかかるとどこへでも足を運ぶ。紙芝居の”ネタ”は数知れず。季節やお客に合わせてその日の話を選ぶのが自身流だ。
○…きっかけは自身の子どもがまだ幼かったとき。絵本のようにただ読み聞かせるだけでなく「向き合って演じる方も見る方も一緒になって舞台を作っていく」そんな紙芝居の魅力に惹かれた。やさしく、時には抑揚をつけて話に”味付け”し、手遊びも交えながら子どもたちも物語の舞台に参加する。聞き手とのかけあいで作られていく舞台は二度と同じものにはならない。でも、それが面白い。子どもが大きくなった今も紙芝居を続けるのも「私が楽しいから」と笑顔をほころばせる。「それに綺麗な日本語を子どもに伝えられるのも紙芝居のいいところ」
○…根っからの子ども好きなのだろう。学生の時も、仕事に就いてからも常に子どもたちと関わってきた。結婚後退職し、子育てがひと段落した現在も、野外遊びを通じて子どもたちが交流をはかる「あそび発信基地」を主宰。木に登ったり、落ち葉で遊んだりと元気いっぱいの姿に「このときはね」と写真をめくる表情に慈愛があふれる。
○…祭りでは子どもたちが「あめ屋さん」をやってくれたり、学校では児童が手伝いをしてくれたり。まちを歩けば「今日のお話は決まった?」と声をかけられたりと長年の成果もあって、まちの紙芝居やとしての活動は根付いてきた。紙芝居の先にはいつも子どもたちがいる。「今日は何のお話をしようかな」。胸を高鳴らせながら、あすも会場へと足を運ぶ。
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