大学時代から通算16カ国、1万5千Km以上を走破したサイクリスト 山田 美緒さん 逗子市山の根在住 30歳
自転車は世界を繋ぐ
○…世界を知るのに貪欲だった大学時代、アフリカの地域文化学を専攻。学んだことを実地体験しようと在学中に現地を踏んだが、当時は期待した経験を得ることはできなかった。原因は「現地の人との間にある距離感」。ならばより身近にと思いついたのが自転車による大陸縦断だった。それまで自転車旅行をしたこともなく、周囲から猛反対されたが決意は固かった。南アフリカ喜望峰を目指し、ケニアに立つのはそれからわずか半年後のことだ。
○…最果ての地を5千Kmひた走る決死行。予め日本1周をして経験を積み、整備の一切をこなせるよう自転車屋に弟子入りもした。さらに女性と悟られないよう頭は丸坊主に。生身で風を切る日々。村につけば集落をめぐり、土地の生活にふれ人々と言葉を交わす。毎日が発見の連続だった。雨季のある日、空の恵みにはしゃぐ子どもたちを目にこう思った。「自分には嫌な雨も彼らにはあんなにも嬉しそうにしてる。雨はやまないけど、考え方ひとつで世界の見え方は変えられる」
○…帰国してからも熱は冷めやらない。台湾、中東、アメリカを渡り、結婚後はシルクロード3千Kmを走破した。現在も各国のサイクリストを集めたツアーを企画するなど精力的だが、目的は自転車に乗ることだけではない。旅先で得た友情、支えてくれる人への感謝、生き方。自転車は「世界と自分を繋ぐ鍵」だ。ツアーを通じたエイズの撲滅や平和活動、国内外での講演会は300回以上にのぼる。
○…世界を股にかけてきた自身も現在は1歳児の母。「毎日が発見で冒険。そういう所は自転車と同じかも」と微笑む。今後は地域のお母さん同士を巻き込んだ保育プロジェクトを構想するほか、市民活動に参加し、地域の繋がりを広げていきたいという思いもある。バイタリティは尽きない。まだまだ。将来の夢だってある。「生れ故郷、池田市(大阪府)の市長になること」。昼下がりに笑顔が輝いた。
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