7月26日からブルガリアで行われるデフリンピックで、日本選手団ビーチバレーの監督を務める 牛尾 洋人さん 逗子市池子在住 38歳
大舞台の先を見据えて
○…聴覚障害者による国際的スポーツ大会、デフリンピック。4年に1度の祭典に向け、ビーチバレーの選手団を率いて海を渡る。大舞台を控え、最後の追い込みに汗を光らせる選手を横目に「一つでも上を目指せるよう、万全に仕上げたい」と意気込む。
○…デフビーチバレーはコートや用具など健聴者の競技ルールとほとんど変わらない。ただ試合運びの上で、ならではの要素がある。それはいかにペアが無言の意思疎通を図れるか。チームワークが勝敗の要となる競技で「声が使えず、試合中は手話やアイコンタクトを交わす間もない」からだ。さらに足場は悪く、天候次第では雨や風など予測不能の要素も加わる。「事前の作戦と、限られた時間でどれだけコミュニケーションできるか。常にペアを意識して」と指導を繰り返す。
○…以前はプロのビーチバレー選手として活躍。弟とペアを組み、名を馳せた。「僕は大したことない。弟の七光りだったんですよ」。謙虚に微笑む姿に人柄がにじむ。監督を引き受けたのは怪我がもとで前線を退いた2年前。元々デフバレーに関心があったこともあり「自分にできるなら」と快諾した。チームを勝利に導く一方、競技そのものの普及も自らの役割と心得る。競技人口はろう者のバレー選手の中でも一握り。裾野を広げなければ今後の進展は見込めない。逗子海岸や鵠沼海岸、練習場所にあえて人目の多い場所を選ぶのも認知を広めるためだ。
○…練習では手話の使えるスタッフが間に入るが、自らも「選手との間には感覚に隔たりがある。自分が歩み寄らないと」と社協の主催する手話講座に通い、基礎的な話術を学んだ。プレーに問題があった時でも、考えを押し付けず、選手がなぜそうしたかを汲み取るよう心がける。デフの指導者としては駆け出しかもしれない。しかし頭の中では「いつか日本勢が世界大会でメダル争いができる常連に」と青写真を描いている。
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