南足柄市消防団に女性として初めて入団した 眞下果鈴(かりん)さん おだわら脳神経外科クリニック勤務 29歳
輝く笑顔で前へ
○…「私じゃダメですか?」。思わず口をついて出たひと言が始まりだった。前例のなかった女性消防団員になって半年が過ぎ、ついていくのに必死だという訓練を「日々の充実」と苦もなく微笑む。「団服を着て階級章をつけると、よしやってやろう、って気合いが入る。自分の人生に誇りが持てる」と大きな瞳をきゅっと細めた。
○…生まれは小田原。開成町や平塚市で小学校時代を過ごし、城北中学校、城内高校、関東学院大学と小田原市内で進学した。「誰かの役に立ちたい」と中学時代から夢見てきたのは警察官。これ、と決めたらやり抜く一本気な少女は「苦手な英語を克服するため」海外に短期留学し「武道ができなければ」と4年間空手道場に通った。一般企業に就職しながらも、26歳で結婚するまで毎年警察官採用試験を受け続けた。「でもなれなくて、悔しかった。何かできることはないかってずっと思っていた」。その想いが今の大きな原動力だ。
○…物心ついた頃から父はいない。ずっと2人で暮らしてきた母は「やりたいことは自分で手に入れなさい」という方針。留学資金や大学の受験料もギリギリまでアルバイトして稼いだ。「足りない分は補填してくれた。『やってもらって当たり前はない』、と教えながら、やりたいことはいつも応援してくれた」。入団が決まった時も「伝説を作ってきなさい」と背中を押してくれた。「人にも自分にも厳しいけど、芯が強くて誰よりも優しい。私の目標です」と晴れやかな笑顔を見せた。
○…しきりに口にするのは周囲への感謝の言葉。「分団長も団員も、男女分け隔てなく仲間として受け入れてくれる。皆といるのが楽しい」。出動の際には見送ってくれるという夫も良き理解者だ。「これからは女性団員を増やしたい。女性にも興味をもってもらえるきっかけになるのが自分の仕事」。笑顔が似合う前向きなエネルギーを力に、新たな風を巻き起こしていく。
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神奈川県警察官友の会社会全体の犯罪防止や治安維持に寄与し、民間の力を合わせて警察官を支援 |
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