10月1日付で小田原市教育長に就任した 栁下 正祐さん 小田原市寿町在住 65歳
すべては「学び合い」の姿勢
○…行政の教育分野トップへの重責は感じつつ、家族の「誰にでも来る仕事ではないんだから挑戦するべき」と後押しを受け一歩踏み出すことを決めた。「命・地域・信頼」を重視してきたこれまでの施策を継承しながら「今の子どもに必要なのは社会力や人間力。それを育む土壌を作りたい」と思いは明瞭だ。
○…生まれ育ちは小田原市。小中学生時代に経験したソフトボールと野球で「強いチームを作る熱血コーチに憧れたのが教職へ進むきっかけ」。小学校教諭になり、児童と一緒になってソフトボールに励む中で聞いた高校野球解説者の講演が今でも胸に残る。「チームが勝つと選手に結束が生まれる。一人ひとりの力が足し算でなく、掛け算になるように教える側ができているかと問われてはっとした」。共に学び合い、切磋琢磨することの大切さはそれからの考えの軸になっている。
○…就任前までは体力づくりとして月1回ほどの自称「へぼゴルフ」と週1回のウォーキングが日課だった。教諭時代の教え子や大学空手部の仲間と今でも続く交流も楽しみの一つ。これから忙しくなりそうな環境に身を置くが「新しい職でもこれは変わらないように続けたいところ」と柔和な表情を見せる。
○…「高度成長期は社会への適応力が求められていたが、今は人との関りで育まれる『社会力』が必要。それがより良い地域につながる力になる」。大人も結果だけでなく子どもたちが取り組む過程にもっと注目すべきとの持論だが「偉そうなこと言ってるけど、二宮尊徳さんがとっくの昔に説いてたこと」と笑う。情報通信技術の導入など変革期にある教育現場へ、教諭時代から変わらない「すべては学び合い」との思いを伝えるべく要職に向かう。
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