初のアウトレットセールを開催する協同組合横浜マーチャンダイジングセンター理事長 上野 達夫さん 栄区在住 71歳
「人情」感じて 進み続ける
○…今週末、会員企業が合同で催すアウトレットセール。「流通団地といえど、地域の方にもどんどん入ってきてもらいたい。人との交流を深めたいんです」。組合一丸で取り組む初の企画に、大きな期待を込める。
○…5歳のときだった。「きょうは星が多いなあ」。故郷・下関で見たその「星」は、B29。焼夷弾の投下を受けた街は翌朝、焦土と化していた。「戦後はろくに食べるものもなかった。強く生きなければいけない時代でした」。高校時代は家を出て風呂屋の2階に下宿。夜は新聞社でアルバイトし生活費を稼いだ。卒業後、たった一人で上京。浪人生だったが、ひょんなことから世田谷の建具店で働くことになった。「少しの間ならと始めたら、気づいたら営業部長になっちゃったんです」。裸一貫、見知らぬ土地でがむしゃらに働いた結果だった。
○…戸塚の営業所を任されていたとき、会社が倒産。弱冠25歳、田舎に帰ってやりなおそうと決めた。「でも、周りの皆が首を縦に振らなかった。自分たちで会社を立ち上げようと」。一念発起し、自ら社長となって会社を創業。しかし、最初から順風満帆とはいかなかった。「アパート住まいで、家族もいない。銀行には『何を信用して金を貸すんだね?』と言われましたよ」。それでも、社員は自分を見捨てなかった。泣いて、笑って、続けてきたサッシの会社。幸浦への移転を経て、今年、45年の節目を迎えた。
○…信条は「人まかせにしないこと」。これまでの歩みが、それを裏付けている。「わがままなんだけど、やっぱり人が好き。『人情』ってやつですよ」。多くの人との出会いをもたらしてくれたこの仕事に、誇りを持っている。異業種との交流ができる協同組合もしかり。「本当は理事長なんて器じゃないけど、みんなが助けてくれるから」。飾らないまっすぐな人柄が、そうさせるのだろう。めざすのは、「地域での持続発展」。仲間と手を取りあい、進む。
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