10周年を迎える「あおぞら谷津保育園」園長の 芳尾 寛子さん 神奈川区在住 41歳
「嬉しい」が溢れる仕事
○…「保育は地域とともにある」という考え方だからこそ、「地域づくり」への協力を惜しまない。今年4月、園内に授乳やおむつ替えが自由にできる「あかちゃんの駅」を区内で初めて設置した。「地域の力を借りているから、地域の要求を汲んでお返ししていくことも大切。子どもを中心にした場所づくりができれば」。コミュニケーションを第一に、子育てしやすい保育園とまちを目指す。
○…中学、高校と野球部のマネージャーだった。「口では練習してないと言っている部員が、実は朝練に励んでいた。そういう人たちを支えるのが好きだった」。「常にコールド負け」だった高校でチームが、努力を重ねて私立の強豪校に勝った瞬間は「美しさ」を感じた。「結果は後からついてくるという言葉は本当だと思った。今でも考え方のベースになっている」。保育園でも根本は変わらない。「ご両親が一生懸命子育てをする姿は本当に尊敬する。少しでも手助けできればと思う」
○…「炭酸の飲み物は、良く振って栓を開けると、天井まで泡が届くかな」。少女の質問に父は「床が濡れてもいいから、やってみなさい」と答える――幼少期のエピソードだ。「今も父の教えは生きている」という。地域とのつながりのため「やってみよう」と始めた「あおぞらふれあいまつり」。知ったのは周辺住民の温かさだった。「『もっと騒いでもいいからね』とか、『手伝いしてあげる』とか。声を掛けてもらえるのが嬉しくて」。頬の涙が光る。
○…「お酒が好き」だという。理由は「人と本音で話せるから」。かつて開いた父親懇談会では、酒を交わし朝まで語った。徐々に、母親の悩みに寄り添う父親の姿が増えていったという。昨年、かつての教え子が保育士として戻ってきた。「父親と母親が子育てに関われる環境を、私も作りたい」と教え子の言葉。「この仕事、嬉しいことばかりが溢れているんです」と満面に笑顔を咲かせる。
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