新春区長インタビュー 「災害に強いまちづくりを」 福祉、待機児童対策も注力
2013年の年頭にあたり、本紙では津田祐孝緑区長に新春インタビューを実施した。区長は、災害対策や今年の重要課題などについて思いを語った。(聞き手/本紙・緑区編集室編集長 坂浪健太)
――まずは2012年の振り返りをお願いします。
「災害対策では、東日本大震災の数々の教訓を踏まえ、具体的な震災対策の検討に力を注いだ1年でした。
市では現在、東日本大震災を踏まえて横浜市防災計画「震災対策編」の修正を行っています。私も検討メンバーとして、区の災害対策本部の体制や避難所のあり方等の議論に参加しましたが、今回の修正案では減災目標の設定、人命を守ることを最優先した対策の強化がポイントになっています」
――昨年10月には、市の地震被害想定の見直しも行われました。
「今回は、横浜市に最大の被害をもたらす揺れを起こす地震を想定し、市全体の死者の想定は3260人で、従来(3653人)よりも減少していますが、火災による死者は1548人と大幅に増える予想です(従来は88人)。これまで想定していなかった津波や液状化による建物被害を想定したことも大きな特徴となっています。緑区では、横浜市地震被害想定と市の防災計画の修正を踏まえ、緑区の防災計画の修正を行います。区の計画には日頃からの減災の取組や避難所の運営方法、帰宅困難者対策など、より具体的な内容を盛り込む予定で、4月からの運用を目指しています」
――金環日食は区内で明るい話題となりました。
「昨年5月、首都圏で173年ぶりに観測されました。リングを美しく観察できる「食の中心線」が区内を通るという絶好の観測条件であったため、緑区では金環日食で地域の活性化を図ろうと様々なイベントを行いました。また、11月にはライトアップイベント「スマートイルミネーション新治」を実施しました。地域の皆様にもご協力頂き、この場をお借りしてお礼を申し上げます」
――今年の区政運営について教えてください。
「基本目標を「安全・安心、みんなにやさしいまちづくり」とし、目標達成に向けて「【1】安全・安心なまちづくり」、「【2】いきいき暮らせるまちづくり」、「【3】みどりの魅力あふれるまちづくり」を3つの柱として、職員一丸となって取り組んでいます。その中でも今年度は【1】災害に強いまちづくり【2】第2期みどりのわ・ささえ愛プランの推進【3】保育所待機児童対策に特に力を入れています」
総合防災訓練を実施
――各主要事業の進捗状況はいかがでしょうか。
「災害に強いまちづくりでは、地域防災拠点や区災害対策本部の訓練に加え、帰宅困難者対策訓練、特別避難場所の開設・受入れ訓練など、様々な取組を実施しています。
東日本大震災の際に改めて実感しましたが、発災時には地域や行政、警察や消防など、防災関係機関の連携が重要になりますので、3月11日に行政と防災関係機関などが連携した総合防災訓練を実施します。総合防災訓練は、地震発生を想定し、区の災害対策本部と防災関係機関が被害状況等の情報を受伝達する訓練が中心となります」
――区庁舎の耐震補強も行われています。
「東日本大震災を受け区庁舎の耐震補強は急務と考えています。現在、実施設計を行っていますが、工事完了は2015年度になる見込みです。しかし、地震はいつ起こるかわかりませんので、先行して区庁舎の一部の柱を補強する緊急対策工事を行ったところです」
――第2期計画2年目をむかえたささえ愛プランについてはいかがでしょうか。
「緑区の地域福祉保健計画である「第2期みどりのわ・ささえ愛プラン」を2011年3月に策定しました。このプランには、11連合自治会単位ごとの「地区別計画」が盛り込まれており、従来の福祉や保健の取組のほか、防犯・防災や生活全般に関わる取組なども掲げられています。第2期計画の2年目ということもあり、地域の皆様によって組織された「地区別計画推進委員会」を中心として、地域の特色を生かした様々な取組が実施されています」
――待機児童対策について教えて下さい。
「2013年4月の待機児童解消を目指し、保育所の整備や保育コンシェルジュの配置などの取組を進めてきました。保育所等の整備のほか、区役所では保護者を対象にした保育コンシェルジュによる保育所基礎講座や個別相談会を実施しました。2012年4月の緑区の待機児童は9人と2011年と比べ大幅に減少しましたが、待機児童ゼロを目指し、引き続き取組を進めていきたいと思います」
――区民文化センターがいよいよオープンします。
「長津田駅北口地区の再開発事業では、3月末に高層マンションや商業施設などが入った複合施設が完成します。10月には約340席のホールを備えた区民文化センター「みどりアートパーク」がオープンしますので、是非、多くの方にご利用いただきたいと考えています」
――最後に区民の皆さんへメッセージを。
「災害対策については冒頭でもお話ししましたが、新たな地震被害想定では、緑区内の死者は若干減っていますが、負傷者は約1・5倍、揺れによる建物被害も全半壊合わせて従来の約2・5倍に増えています。
地震の被害を減らすために、まず各御家庭で取り組んでいただきたいのは、家具等の転倒防止と出火防止です。防災、減災に向けて、ご協力くださいますようお願いいたします」
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