白山アルバック理工(株) 「熱電量測定器」に奨励賞 県・工業技術開発大賞で
神奈川県内の中小企業が開発した優れた技術や製品を評価する「第30回神奈川工業技術開発大賞」の表彰式が先月、神奈川県庁で開かれ、白山の「アルバック理工株式会社」が開発した「熱電材料の性能評価装置」が奨励賞を受賞した。
同社が手がけた「熱を電気に変換する熱電材料の性能評価装置」は、自動車やエアコンなど様々な工業製品に使用される材料(熱電材料)が温度差によって生じた熱エネルギーを電気に変換する効率(熱電変換効率)を測定する装置。この装置の活用によって、熱電変換効率の良い材料を見つけることができれば、多くの製品の消費エネルギーの削減が可能になるなど、エネルギーの有効活用につながるという。
測定の幅広げた技術に評価
同社は従来対応できなかった薄さでも測定できる技術向上に加え、幅広い温度で測定ができるよう同装置を開発。より多くの熱電材料の測定を可能にした。奨励賞受賞は、この高い開発技術が評価につながったという。
同装置の開発リーダーを務める島田賢次さんは「認知度が低い『熱電変換』の分野が県から評価されて驚いたのが正直な感想。一般の方々にこのことを知ってもらう機会にもつながりうれしい」と受賞を喜んでいる。
環境問題解決にも
同社は、1962年の創業以来、熱をテーマに熱分析、熱物性測定機器などの研究、開発に取組んできた。奨励賞を受賞した製品も、開発から20年近く改良、改善を加えてきたものだ。
初期から同製品を見守ってきた島田さんは「自動車メーカーなどの要望に応え、改善を繰り返してきた。特定の会社用のオーダーメイド製品を作るのが当社の仕事。”世界でたったひとつ”のものを作り上げるのは大変ですが」と話す。
島田さんが製品づくりで重視するのが既成概念にとらわれないこと。今回賞を受賞した装置の開発時も、熱電材料の測定機能を上げるために「1つのセンサーでエネルギー量を測定する」というこれまでの常識にとらわれず、複数のセンサーを使用することで、薄板状の熱電材料の測定を可能にするなど、装置の機能性をアップさせた。
「今後は当社の技術で、環境問題などの解決につながる製品なども作っていきたい」と島田さんは意気込んでいる。
|
|
|
|
|
|