白山 廻り地蔵講が市文化財に 谷戸に残る民俗行事
緑区白山地域で300年以上前から行われている「廻り地蔵講」が15日、市の無形民俗文化財に指定された。地蔵を家から家へと送り祀る民俗行事。かつては多くの地域で行われていたが、市が確認している範囲内では、現在区内に残る唯一の地蔵講となった。
白山地域では300年以上前から石神、下講中、表、打越の4つの谷戸で一体の地蔵を送りあう「廻り地蔵」が行われてきた。
年代によって、地蔵の送り方は様々に行われてきたが、戦後は各世帯を順番に廻る現在の方法に落ち着いた。地蔵は2年に1回を目途に各家庭を廻り、祀られてきたという。
「廻り地蔵講」では、木の箱に納められた地蔵を背中に背負い、家から家へと送る。自分の家に地蔵がくると、1週間から10日を目安に祀り、朝晩の供え物を欠かさないという。戦後新調されたものだという木の箱には、願い事などを記した袈裟が結ばれる。
地蔵は、北関東の行商がこの地に運んだものがそのまま引き継がれたという説が有力だというが、この地域の廻り地蔵の発祥については諸説ある。
親子三代で世話人として「廻り地蔵」を管理する白山神社総代の磯貝真一さん(83)は「お地蔵様は先祖代々受け継がれた宝物のような存在。古くから我々を守ってくれたお地蔵様だから大切にしたい」と、「廻り地蔵」の無形民俗文化財指定を喜んだ。
市はほかに、池辺町薮根(都筑区)、新羽町三谷戸(港北区)に残る「廻り地蔵」を『鶴見川流域の廻り地蔵』とし、泉区下飯田の「廻り地蔵」とともに無形民俗文化財に指定した。
|
|
|
|
|
|