台村町在住の塚原孝幸さん(77)が完熟四角スイカの栽培に成功した。これまで観賞用として市場に出回っていたものと違い、塚原さんのスイカは食用にも適し、糖度は11%以上。約5年をかけ、ようやく思いを実らせた。
塚原さん(=人物風土記で紹介=)はスイカの名産地としても有名な長野県出身。同窓会で農家を営む同級生・菊池敏治さんと「郷土の名産であるスイカを盛り上げるため、食べられる四角スイカを作れないか」と話したことをきっかけに本格的な栽培技術の研究をはじめた。
四角スイカと言えば、香川県善通寺市で生産されるものが有名で、主に観賞用として国内外に出荷され、1個1万円ほどで販売されている。きれいな四角に育てるのが難しく、商品として出荷できるのは約8割だという。観賞用となるのは四角にする治具(型枠)の強度がスイカの大きくなろうとする力に負け、破損してしまうためと言われ、出荷されるのは主に未完熟のもので、食用には適さなかった。
塚原さんらは国内屈指の糖度を誇る信州ハイランドスイカの持ち味をいかした「完熟四角スイカ」の栽培に挑んだが、やはり「一番苦労したのは治具の強度だった」という。
通常の四角スイカは強化プラスチックの治具を用いるが、スイカが成長し5kgを超える大きさになると治具は壊れてしまった。元技術者である塚原さんは、以前から親交のあった工作機器会社「丸正工機」(大田区)の小澤正之社長に相談。約5年をかけ最終的にステンレスの枠で強化した治具にたどり着き、9kgを超える大玉の「完熟四角スイカ」の栽培に成功した。
途上国支援など視野に
塚原さんはこの栽培技術を主に東南アジアの開発途上国の農業支援に役立てられないかと模索中だ。これまで、スイカの生産が盛んなミャンマー大使館などに出向き、富裕国に向けた四角スイカの輸出などを提案しているという。
塚原さんは「東南アジアで栽培されているスイカは日本のものと違い楕円形。きれいな網目の入った四角いスイカを作れるようになるにはまだまだ壁も大きいが挑戦する価値はある」と話す。
23日まで区役所で展示
緑区役所では塚原さんの挑戦に敬意を表し、緑区役所1Fイベントスペース前で「四角スイカ」を展示している。期間は9月23日まで。
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