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緑区版 公開:2016年10月13日 エリアトップへ

ノーベル賞大隅教授 緑区内で喜びの会見 周辺から祝福の声続々

社会

公開:2016年10月13日

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笑顔で会見に臨む大隅栄誉教授(左)と萬里子夫人
笑顔で会見に臨む大隅栄誉教授(左)と萬里子夫人

 今年のノーベル医学生理学賞に決定した大隅良典さん(71/東工大栄誉教授)が4日、研究室のあるすずかけ台キャンパス(緑区)で妻・萬里子さんとともに会見に臨んだ。受賞について「この上ない光栄」と語った大隅さんは、妻と周囲への感謝の言葉を繰り返し、改めて喜びを語った。

 「この大学から偉大な受賞者が生まれたことを誇りに思う」「同じキャンパスで一緒に研究できる幸せを改めて感じた」

 会見直前、大隅さんの到着を待つ学生らは口々に語った。報道陣や学生らが押し寄せ、ごった返した会場に続く階段には溢れた学生が列をつくり、長い花道ができた。

 大隅さんが到着すると大きな拍手が沸き起こり、祝福ムードは最高潮に。妻・萬里子さんを伴い会場入りした2人に元教え子から花束が手渡された。大隅さんは「この上ない光栄。良い仲間と友人に恵まれ自由な研究ができた」と挨拶した。

 妻・萬里子さんは東大大学院時代、同じ研究室の2歳下の後輩。出会ってすぐ運命を感じ、学生結婚。すぐに子どもが生まれたため、萬里子さんが働いて家計を支えた時期もあった。現在は大磯町に居を構え、休日には2人で庭いじりをする穏やかな日々を過ごす。

妻には「感謝しかない」

 出先で受賞の一報を受けた萬里子さんは「最初嘘だと思った」という。「夫はいたずら好きで冗談ばかり。だから本当だと分かった時は心底驚いた」と話した。

 価値観がとても合い、お互いに空気のような存在だという2人。大隅さんが愛知県岡崎市で13年間の単身赴任をしていた時期も、妻は週末には様子を見に行き夫を支えた。「身体だけが心配で」と萬里子さんは当時を振り返った。

 前夜から取材などの対応に追われ着替える暇もない様子の夫のために、萬里子さんが用意したのは”ブルーのネクタイ”。「これしかましなのがなくて」とこぼすと会場は和やかな笑いに包まれた。「妻には感謝しかない。子育ても私はどこまでやれたか自信がない。自由に研究に専念できるよう支えてくれた」。妻のことを聞かれるたび、大隅さんは感謝の2文字を強調した。

すずかけ台で研究

 大隅さんは東大で理学博士を取得後、米ロックフェラー大研究員などを務め、2009年から緑区内にある東工大すずかけ台キャンパスで研究に取り組む。

 「私たちのつたないデータにもきちんと向き合ってくれる優しい先生。穏やかなのに学会ではとても存在感があり、カリスマなんだと実感する」。元教え子だという志摩喬之さん(院3年)は普段の大隅さんについてこう語る。大隅さん自ら酵母一筋に研究できた理由のひとつに「酵母を培養した時の香りがとても良いから」とあげるように、大のお酒好きでも有名。「沿線で飲むときにご一緒することもあります」と志摩さんは明かす。

 研究室ではふらっと散歩にでかけ、キャンパス内にある四葉のクローバーを摘んで研究室のメンバーにプレゼントするお茶目な一面も。大隅さんいわく「ここにはなぜか四葉が沢山ある。僕は見つけるのが得意。10分も歩けば4〜5本は見つけられる」という。

区民との交流も

 大学から程なくの場所には行きつけの野菜直売所「岡野野菜」がある。ここはいつもの散歩コース。立ち寄っては里芋やオクラ、トマトなど旬の野菜を購入する。「中でもむかごは先生の大好物でね。家に帰ってむかごご飯にしたりしてもらっているんじゃないかな」と野菜を販売する岡部喜代子さんは語る。

 大隅さんが訪れるようになったのは7年くらい前から。いつもふらっと訪れては岡部夫婦とたわいもない会話を楽しんでいく。昨年、大隅さんが文化功労者に選ばれた時には「次はノーベル賞だねって声をかけたら、大隅さんは『どうでしょうね。それは僕が決める事じゃないから』と言って笑っていた」と岡部さん。ノーベル賞受賞の一報を聞いた時には「自分のことのように嬉しかった。次にお会いする時には本当におめでとうと伝えたい」と笑みをこぼした。

 受賞の一報を受け、地元からも祝福の声が続々と寄せられている。名取正彦緑区長は「区民の皆様とともにおめでとうございますと申し上げたい」とコメントを寄せた。中山駅前の塾に通う市内の高校生は「(ニュースを見て)自分も理系の大学を目指しているので、素直に凄いなと感動した。めげずに勉強を頑張ろうという元気をもらった」と話した。

大隅さんの好物「むかご」を手にする岡部さん
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