横浜市 外傷救急の拠点整備へ 専門医師団が24時間対応
外科医不足や救急搬送の「たらい回し」が全国的な問題となるなか、横浜市は交通事故などの重症外傷患者を専門的に受け入れる「横浜市外傷センター(仮称)」の整備を決めた。今年度中に検討を進め、2014年度の早い段階で市内2カ所程度の整備を目指す。
横浜市外傷センターは市の外傷診療の拠点として、交通事故や多発外傷などの重症外傷患者の救急搬送を集中的に受け入れる。
重症の多発外傷患者を適正に治療するためには、脳外科や胸部・腹部外科など各領域の専門医や設備が必要とされる。市内ではこれまで8カ所の救命救急センターが外傷診療にあたってきたが、全国的な外科医不足や維持費などが影響し、全ての施設で重症外傷の診療可能な医師団を常時確保することは困難だった。
そこで横浜市は、14年度までに救命救急センターの中から2カ所程度を外傷センターに指定。日本外傷学会認定専門医などが24時間体制で診療や手術に対応できるよう集中的に配置。外傷診療に特化した機能を持たせることで、より質の高い治療が期待される。
市内の外傷診療拠点として、このような外傷センターが行政主導で設置されるのは全国初。横浜市によると、市内の重症外傷の搬送件数は年間約1900件、1日平均約5件。06年まで県の交通救急センターとして多くの外傷患者を受け入れてきた済生会神奈川県病院の院長で、市病院協会の吉井宏会長は「センターの設置によって医師の集約化が図られる。重症の多発外傷患者の適性治療が行いやすくなることで、救える命が確実に増えると思う」と設置の意義を話す。
今後の課題は専門医の確保や運営に掛かる行政からの財政的な支援のほか、搬送にあたって現場がどのように重症度を判断するかの基準や定義についても検討を重ねていく。
|
|
|
|
|
|