池辺町の畑で育てたキャベツを東日本大震災の被災地に届ける活動を続ける 金子 茂文さん 青葉区在住 63歳
愛情キャベツを被災地へ
○…八宝菜にからしあえなど、キャベツを使った料理をおいしそうに頬張る子どもたち―。届いた写真を嬉しそうに取り出し、「こういうのを見ると、ああ良かったなって涙出るよ」と目じりをさげた。東日本大震災で被災した福島県の南相馬市と広野町に5月末、池辺町の畑で育てたキャベツを送った。その数は合計240個。それぞれ小・中学校や幼稚園、高校などの給食として振舞われた。「子どもたちが喜んでくれれば何より」と微笑んだ。
○…約40年、消防の仕事を勤め上げ、3年前に都筑消防署の副署長として定年を迎えた。退職をきっかけに始めたのがキャベツ作り。震災が発生したのは、折しも初収穫を迎えた春だった。何かできることはないかと消防大学校教官時代の教え子に連絡をとり、気仙沼にキャベツを送ることに。同時に、衣類を段ボールに8箱集めて自ら被災地へ赴いた。瓦礫の山を前に、「自分も手伝えることがあれば」と引退した身を歯がゆく思った。その気持ちは消えることなく、翌年からも南相馬市にキャベツを届け、今年で3回目となる。
○…青葉区内の農家の長男として生まれ育った。大学を出ると、地元に根を張る仕事として消防士に。89年からは青少年指導員としても地域で活躍し、現在は青葉区青少年指導員連絡協議会の会長。子どもたちに竹馬など昔ながらの遊びを教え、親しまれている。「中学生になった子どもも道で挨拶してくれるよ」とにっこり。そんな子ども好きの『親心』はキャベツ作りにも。「野菜も子どもを育てるのと同じ」と語るように、愛情たっぷりに育てる。被災地の子どもには、キャベツと一緒にこの優しさも届けている。
○…趣味は旅行と写真。学生時代はSLの写真を撮りに全国を駆け巡った。今も元気は健在。「子どもにエネルギーもらってるからかな」と快活。活動を通して、笑顔がまわりにも広がっていく。
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