神奈川県看護賞を受賞した 新堀 嘉代子さん 南区在住 58歳
「心」に寄り添い築く絆
○…結核患者に対する直接服薬確認療法を推進するDOTS事業を全国で初めて立ち上げ、確実な服薬や医療費の削減などに効果をあげたとして、このほど神奈川県看護賞を受賞した。「歴史ある賞をいただけて光栄です。今まで支えてくれた人たちのおかげ」と笑顔を見せる。横浜市に入庁して約30年。現在は都筑区役所の福祉保健課長として、福祉の充実などに向けて手腕を発揮している。
〇…結核の薬は体への負担も大きく、服薬しない人も多かった。DOTS事業は患者が薬を飲みこむ所までしっかりと確認し、確実な治療を促すものだ。この事業では退院後も服薬を監視する必要があるため、プライバシーの侵害が問題でもあった。そこで大切にしていたのが患者との信頼関係。普段の会話や何気ないコミュニケーションを続けることで、無理なく服薬を確認できる。現在、DOTS事業は広がりを見せ、全国で推進されている。
〇…学生時代から人と深く携われる仕事がしたかった。保健大学校を卒業後、市に入庁。磯子区の保健所では子どもが産まれたばかりの家庭や、介護を続ける人たちの家に訪問し、生の声を聞き続けた。当時はわからないことも多く、寝たきりの人に何もできない無力感を味わったこともあったという。そんな中でたどりついたのは、その人の『心』に寄り添ってあげること。症状の改善はできなくても、体を拭くことや、ひとりで介護を続ける人の話を聞くことはできる。現在もその姿勢は変わらず、心の中に生き続けている。
〇…都筑区役所に勤めて10年。以前は街を盛り上げる地域振興課長を務めるなど、市内でも珍しい経歴を持つ。その中でも初開催だったドイツクリスマスマーケットにも尽力した。すべてに通じるのは「街の人の意見にしっかりと耳を傾けること」。行政機関と区民の壁を取り払い、街の人の目線で日々の業務に取り組んでいる。
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