「横浜型地域貢献企業」に認定された(株)ハンズオンの代表取締役を務める 平野 恭一さん 富士見ヶ丘在勤 58歳
「ホスピタリティ」笑顔に
○…データが消えたと血相変えて飛び込んでくる人をなくしたい―。今年3月、積極的に地域貢献などをした企業に贈られる「横浜型地域貢献企業」に自身が代表の会社が認定された。パソコンの販売や修理などを手掛ける「PCクリニック」を運営し、市内の法人や個人に対して無料点検をしてきた。「壊れる前にチェックしておけば、大事なデータ損失を未然に防げる。大切な思い出は買えないでしょ」
○…「商売はホスピタリティがすべて」。そう語るのは、青葉区にある実家の稼業を小学生の頃から手伝ってきた経験からだ。牛乳や酒類の配達をする父についていき、その所作を見て学んだ。「接客がうまかった。配達先でお客さんと気さくに話ができるし、いつも気遣っていた」。父の背中を見て育った自身も20代の頃、配達中に顔見知りの客から、「子どもが熱を出したので、車で病院に行って欲しい」と頼まれるなど、地域と顔の見える関係を築いてきた。「親切なあの人が売っている品物なら」という安心感が店の経営を支えていたことに気づく。
○…友人が中古パソコン屋を開いたのがきっかけで、「これから波にのる業界」と33歳の時、一念発起し起業。知識ゼロ、固定客ゼロからのスタートだった。「立ち上げ当初は朝から晩まで経理や仕入れ、販売など何でもがむしゃらに働いた」。いまでは客からケーキなどの差し入れをもらうことも。気が付けば父のように地域の信頼を得ていた。
○…自身がデザインし、制作した木のオブジェは観葉植物と一緒に店内を彩る。「機械ばかりではお客さんが落ち着かないから」。作品が載っている同社のホームページを見たアメリカ人から「売ってくれ」とメールが届くほどの腕前だ。趣味は料理や読書、旅行、自家菜園など多彩。「やりたいことが多すぎて。世にないようなものを作ったりするのが好き。今後も仕事にとどまらず何かするだろうね」といたずらっぽく笑う。
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