浜ぶどう持寄品評会で最高位を受賞した折本園園主の 新井 知剛さん 折本町在住 36歳
その”一粒”に魂込める
○…浜ぶどうを栽培すること12年。品評会に出品したブドウ「藤稔」が、横浜市内No.1の称号に輝いた。「今年は空梅雨と猛暑が重なり、色付きや糖度にばらつきも多く、葉の状態の確認や水やりなどに苦労した。努力が報われてうれしい」とほっとした表情を浮かべる。
○…折本町で100年以上続く農家の長男として生まれた。物心ついた時から家業を手伝い、「漠然と自分が継ぐと思っていた」と振り返る。高校生になると「農家なんて嫌だ。北海道か沖縄でのんびり暮らしたい」と親に反抗的な態度を取る時期もあった。大学2年の時、父の昭二さんが脳の病気で体調を崩し、仕事ができない状態に。入浴や歯磨きなど、自宅で介護する中で「親父の畑を受け継ぐのは俺しかいない」と強く心に決めた。
○…以前は野菜を栽培していたが「これからの時代は果物がくる」と果樹園に切り替えるため、大学卒業後は母のてるみさんの実家、横浜サエド園で1年修行。伯父である菅沼進園主の「仕事に追われるな。追いかけろ」の言葉が印象的で、今でも「自分なりに追いかけられているかな」と自身に問いかけるという。その後、かながわ農業アカデミー(海老名市)でノウハウを学んだ。ブドウ初収穫は28歳の時だったが、「色が付かず半分以上捨てた」。失敗をバネに先輩農家から助言を受けたり、専門書を読み込むなどし研究を重ねた。
○…農家仲間とフットサルをするのが息抜き。また地元消防団にも所属し、まちの安全にも尽力する。忙しい日々の中、母と妻の妥子さんと1年365日、繁忙期は早朝から深夜まで農作業に励み、ブドウ一粒に魂を込める。「かけがえのない家族と協力し、地域の皆さまから果物=(イコール)折本園と言っていただけるよう精進していきたい」
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