創立10周年を迎えた日々輝学園高等学校横浜校校長を務める 森田 真さん 東京都在住 63歳
「白鳥蘆花(ろか)に入る」
○…この春も118人の新入生を迎え、約400人が仲町台の学び舎に通う。中には中学時代に様々な理由で学校に通えなかったり、学業に悩みを持っていたりする生徒もいる。先月、港北公会堂で行われた創立10周年記念イベントは、その子どもたちが躍動。生徒自身が司会進行を担い、演劇やバンド演奏も披露した。「入学時とは見違えるほど生き生きしていた。成長を感じる」と優しく微笑む。
○…校長になり4年目。横浜市立中学の定年退職間際、定時制の同学園から声がかかった。「これまで悩みを抱える生徒と向き合えただろうか」と自らに問いかけた上で、後悔のない教師人生を全うしようと就任を決意。普段は一歩離れて生徒を見守り、時に膝を突き合わせて苦悩を受け止めてきた。先月、入学から見守ってきた生徒が初めて卒業式を迎えた。3年間を涙ながらに振り返る姿が誇らしかったという。「皆自分の殻を破ろうとする子たち。心の強さに私も学ばされた」
○…大学生の時、養護施設の学習支援サークルで小中学生に勉強を教える中で「子どもと接するのも悪くないな」と教師を志した。市内で教鞭を取り39年。「黙っていられない」性格で、若い頃は先輩教師の言い分に食ってかかったことも。「今は静かになったよ」と冗談めかすが、教育のこととなると今でも熱血教師の面影をのぞかせる。
○…高校時代に打ち込んだラグビーはまだまだ現役。月に一度仲間とともに汗を流す。座右の銘の「白鳥蘆花(ろか)に入る」は、喘息で学校を休みがちだった幼少期、母が買ってくれた小説にあった言葉。「例え姿は見えなくても、研鑽を積めばその功績は人知れず残る」という意味で、担任時代の学級目標に掲げ、自身にも言い聞かせてきた。蘆(あし)の花に紛れ姿の見えない白鳥は、学園の子どもたちとどこか重なる。「学校は通過点。ここで次のステップの準備をして未来に羽ばたいてほしい」と背中を押す。
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