絵画教室の講師で23日から銀座で個展を開く 山下 則子さん 荏田南町在住 65歳
「絵は自分を映す鏡」
○…身長を超えるほどの大きなキャンバスにポップな色遣いで描くのは、少女や金魚、ツワブキの花が浮かぶ不思議な世界。絵の中の少女は大人びた顔立ちで、世の中を批判しているようなまなざしを向けている。「しがらみのない自由な空間を表現したい。絵は自分を映す鏡みたいなものだから、作品は自由が好きな私そのものです」
○…武蔵野美術大学を卒業後、一般企業に就職。絵の道から離れていた。旅行会社で働いていた時、制作していたパンフレットの表紙に使われていた美しい城の絵に「絵を描きたい」との思いが沸き起こり、油絵を再開したのが50歳。その5年後、女流画家の登竜門ともいわれる展覧会で賞に輝いた。「まさか受賞できるとは思っていなかったけれど、これを機に再出発できた」。以降はカルチャー教室や自宅の絵画教室講師、美術団体での創作活動などにいそしむ。最近は肖像画の依頼も舞い込むという。画家として遅咲きだが、今も進化をし続けている。
○…5人きょうだいの末っ子に生まれ、家族の愛情を一身に受けて育った。家庭科や図工の宿題はきょうだいが取り合うように仕上げてくれたため、コンクールで金賞を取ることも珍しくなかった。「だから絵が得意なんだと思い込んじゃったのかも」と笑う。学生や社会人時代も人に恵まれ、親切に接してもらう機会が多く「あなたの周りはお母さんだらけね」と友人に言われたことも。「芸は身を助くという言葉どおり。人に支えられて今がある」
○…忙しい合間を縫って、彫刻家の夫とドライブや食事に出かけるのが安らぐ瞬間だ。支えになるのは孫の存在。グループ展に連れて行くと数ある作品の中から祖母の絵を見つけるという。「目に入れても痛くないって言うけれど、その最上級」と顔を緩ませる。「少女のように自由でいたい。自由な心で描いて発表していくのが目標」と語るその目は輝きに満ちている。
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