神奈川県立公文書館の館長を務める 今部(こんべ) 一良さん 中尾在勤 57歳
歴史の記録を後世へ
○…歴史的価値のある古文書や公文書を収集・選別・保存し、県民共有の記録遺産として後世に伝える役割を担う「神奈川県立公文書館」の館長に昨年4月に就任した。就任時は既に新型コロナの影響で臨時休館状態。10月に再開後は予約制での資料閲覧に対応している。総数約81万点の資料を収める同館には、年間ダンボール1万箱超の文書が搬入される。「静かな職場のイメージだったが、手作業で仕分けや整理をするので意外と体力も必要なんです」と着任当時の驚きを口にする。
○…コロナ禍で企画展などが全て中止となる中、何かできないかと実現したのが3月31日まで開催中の「ミニ展示 畠山重忠と二俣川」。通常の企画展は何カ月もかけ準備するが、大河ドラマに地元ゆかりの武将が登場するとあって、放送前の12月に展示開始を間に合わせようと考案。職員に掛け合い、他館所蔵資料の許諾手続きなどを短期間で進めた。仕事のモットーは「風を捕まえなさい」。「県民の皆さんが求めることを常々意識し仕事に臨んでほしい」と職員に語り掛ける。
○…二宮町で育ち、地元に貢献する職業を志し大学卒業後に県職員に。印象深い仕事が「環境基本条例の制定」と「県内への企業誘致」。条例制定時には当時珍しかったパブリックコメント(意見公募)を行うため様々な場所を訪問。企業誘致は研究所を対象に県内の魅力を訴えるプロモーション活動を行った。「今でも電車や車から誘致した企業が見えると嬉しい」
○…同館が来年開館30周年になるにあたり、古くなった施設や限りのある書庫などの課題に「次の30年に向けて道筋をつけられたら」と話す。紙だけでなく電子文書も増える今、時流に合わせた資料の公開方法の構築にも力を注いでいる。
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