4月から新たに金沢消防署長に就任した 中嶋 俊明さん 逗子市在住 55歳
個を磨き、チームで守る
○…今春の異動で、2年ぶりに金沢署に着任した。、「金沢の皆さんの安全安心を、全力で守ります」と意気込む。とくに重視するのは震災対策。「自助・共助はとくに大切。区民一人ひとりが、互いに助け合える関係づくりをサポートしていきます」と思いを語る。
○…「直接人の命や財産を守る仕事がしたい」。高校生のとき、迷いなく自分の進路を決めた。「大変に違いない。でも、あえて挑戦しようと」。配属されたのは、特別救助隊。現場で燃え盛る炎の中、大けがをする人や亡くなる人を目の当たりにした。「辛かったです。辛くて辛くて、食事もできなかった」。ある時、先輩がこう言った。「楽になる方法を教えてやる」。戸惑う自分に、こう続けた。「お前が強くなればいいんだよ」。一人前になるには、苦難を一つひとつ乗り越えて、成長していくしかない。それを心に刻んできた。
○…「個」でつみ重ねた努力の成果は、やがて海外でも発揮されることになる。西区の消防出張所長だった1997年秋、国際緊急援助隊としてインドネシア派遣の命が下った。森林火災の延焼を食い止めるため、上空からの状況把握・分析を行う日々。「直接消火できないことに、歯がゆさはありました」と述懐する。だが、こう思い直した。「大事なのは、チームとして最大限の力を発揮すること。一歩引いて、自分に今求められていることをやろう」。ろくに睡眠もとれない過酷な3週間、その思いが体を動かした。活動をねぎらうように雨が降り注いだのは、帰路に就く日だった。
○…自他ともに認める「切り替え上手」。消防士として欠かせない能力だ。20年毎日続けている愛犬との散歩も、良い気分転換になっている。もう一つ、大事にしているのは、聞く耳を持ち、譲る精神。「それがチームで生きること。困ったとき、必ず自分に返ってきますから」。署員、そして区民とのチームワークで、金沢を守る。
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