9月5日付で金沢警察署長に就任した 木原 信一郎さん 金沢区内在住 54歳
街ぐるみで「融和団結」
○…金沢警察署長就任の訓示に掲げた「融和団結」。署員が結束し、一人ひとりが持ち場で力を発揮できるような雰囲気づくりを目指す。「組織力が大切。つながりを強めていけたら」と気持ちを新たにする。署内だけに留まらず、金沢の街中にその心を広めていきたい。「住民の協力や支えは欠かせない」。一丸となり、街の治安を守っていく。
○…横須賀市出身。海上自衛隊を近くに感じる街で、陸上自衛官の父の元で育った。時には自衛隊の船に乗せてもらうことも。「今思えば、安心安全を守ることが昔から身近だったのかもしれない」と穏やかに笑う。大学で法を学ぶと、人や社会に役立つ道を本格的に探し始める。「犯人検挙だけでなく住民との関わりなど、実感に直結するのでは」と警察官を志した。
○…忘れられない場面がある。1995年に発生した阪神・淡路大震災。翌日には被災地に派遣され、倒壊した家屋などでの安否確認や防犯パトロール、交通規制に尽力した。「崩落した高速道路や傾いたビル。自然の驚異を肌で感じた」と振り返る。任務を終えて神奈川へ帰還する途中、警察官を乗せたバスの車窓から見たのは、すれ違う街の人々が手を止め深々と頭を下げる姿。「少しでも心に寄り添うことができたのかな。役に立てたのなら良かった」と目を潤ませる。
○…「歴史や土地の人、思いがあって現在がある」――。土地を知り、愛着を持つ大切さを説いた先輩の言葉に忠実に、朝は異なるルートで出勤し、早朝や休みには街の古刹や海沿いを丹念に歩く。「今は柴や洲崎まで。徐々に範囲を広げたい」と笑う。金沢の印象は「声かけや見守りが熱心。地域のつながりがあって温かい」。一方で、特殊詐欺の被害は目立ち根絶には至らない。署からの情報発信も強化するが、街ぐるみの協力を仰ぐ。「警察だけでは限界もある。街中で安心安全の活動ができれば嬉しい」と前を向いた。
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