横浜市電保存館の館長を務める 武藤 隆夫さん 磯子区滝頭勤務 50歳
市電の歴史、後世につなぐ
○…横浜市電保存館の館長に就任して1年9カ月が過ぎた。入館料を変更して以来、減少し続けてきた来館者数はようやく今年、持ち直し傾向に。「学びながら遊んでもらえる場所」をコンセプトに、様々なアイデアで施設の充実を図ってきた結果が出はじめてきた。「アンケートの満足度も高く、手ごたえを感じている」とほっとした表情を見せる。
○…横浜市生まれの横浜育ち。「電車には全然興味のない子どもだった」と振り返る。当時抱いていた将来の夢は「平凡なサラリーマン」。「落ち着きがなかったので、バランスのとれた”普通の人”が一番良いと思っていたんです」。就職し東京の映像メディア制作会社で働くも、リーマンショックで受注が激減。「横浜市に携わる仕事がしたい」と思い続けていたこともあり、2009年から市の外郭団体である横浜市交通局協力会の職員になった。
○…駅員などを経て、14年から同館の再整備を担当した。「有識者を呼んで検討委員会を開き、コンセプト立ち上げから携わった」。ホールの整備やジオラマを減らして歴史展示スペースを設置。「ただのアミューズメント施設にしたくない」と、「学び」の要素を増やした。結果、小学校の社会科見学や教員の勉強会に使われることが多くなったという。
○…館長という立場に、「これまでの仕事経験は間違いなく役立っている。俯瞰で全体を見られるようになった」と話す。目指すは「磯子区のシンボリックな施設」。来年の教科書の表紙に、展示市電の写真が載ることも決まった。「これからも市電が走っていた懐かしい横浜を後世に伝える、魅力的で子どもから大人まで楽しみながら学べる施設であり続けたい」と力を込めた。
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