根岸エリアX跡地活用 意見広告 ヘルスケアパークを目指して 横浜市会議員 山本たかし
2月17日の横浜市会政策総務財政常任委員会で、米軍根岸住宅の跡地活用に関する方向性が示された。老朽化した市立大学二病院の集約と市大医学部、先進医科学研究センターの移転案である。超高齢化社会を迎えるにあたり、安心医療の実現と明るく活力あふれる街づくりは、まさに「健康寿命100年時代」をめざす横浜にとって朗報である。あわせて大学がない磯子区にとっては、若者が増え、街の活力につながることが期待できよう。10年、15年先までかかるビッグプロジェクトだからこそ、根岸地区のもつ可能性を最大限引き出す開発コンセプトと周辺地域と連動した魅力あるまちづくりビジョンが必要だ。
根岸地区は、高度経済成長の牽引役となる京浜工業地域整備のため、昭和34年から「根岸湾埋立事業」がすすめられた。戦災を免れた根岸地区は区画整理もなされないまま今日に至り、4つの「疎開道路」が残された。戦前の根岸の街が現在までつづく。狭隘道路や木造密集地区が多数あり防災上の課題が山積する。埋立てられた根岸湾沿岸に広がる重工業地域を前面に、背後には急峻な崖地を抱え、ひとたび大規模火災や災害が発生すれば、海とがけ地と掘割川で分断される。今も昔も「市民防災力」がカギを握っている地域だ。市道山下本牧磯子線には、戦後の建てられた復興団地が立ち並ぶ。団地は老朽化し、住民も高齢化。建替えもすすまず、大地震による団地の倒壊は緊急輸送道路の途絶など、街のBCP対策に懸念が増すばかりだ。根岸住宅地区跡地活用と同時並行で、駅周辺地域のインフラ整備を含めた都市計画が不可欠だ。
市会第1回定例会で、林文子横浜市長からも、根岸住宅地区跡地活用に大きな期待が寄せられるとともに、「交通アクセス性」の課題が示された。急峻な高台にあるため根岸駅、山手駅、吉野町駅との連坦性が重要であり、周辺地域を巻き込んだまちづくりが重要となる。元町中華街から新本牧を経て根岸駅までの横浜環状鉄道や新杉田から根岸まで新交通(シーサイドライン)の延伸が交通計画のキーファクターとなるだろう。
4月から日米共同使用での原状回復作業が始まる。原状回復が終わる3年後には返還が予定される。43haに及ぶ根岸住宅地区の3分の1を占める民有地の地権者の中には返還されれば国からの「地代収入」がなくなると、不安を訴える声も。こうした不安に誠意をもって応えていくとともに、跡地活用が速やかに行われるよう、返還前における区画整理事業者の決定や用途地域の指定や都市計画変更、換地処分などをすすめるべきだ。
地権者はみな一様に高齢を迎え、70数年の歳月を経てようやく返還予定の土地を守る時間はそう多く残されていない。
本年6月に跡地活用基本計画案が示されたのち、パブリックコメントを通して市民から意見募集を行い、今年度中に基本計画が決定される。新たなまちづくりのコアインフラが医療施設であるならば、開発コンセプトに『健康・医療』を据え、市民が健康増進のための施設整備をすすめるべきだろう。木々に囲まれたリゾートホテル、緑豊かな公園でウォーキングや散策に親しみ、緑の芝が映える野球場で子供から大人まで草野球に興じるなど、根岸住宅地区がアメリカの香りを残す「ヘルスケアパーク」として生まれかわるよう努力を続けたい。
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