イノベーション都市・横浜の挑戦 意見広告 都市型IRで世界をリード 横浜市会議員 山本たかし
交通手段やコンピュータ、ITの発達でヒト・モノ・カネの移動の制約がなくなり、自由に移動が可能となるボーダレス社会、世界がさまざまなネットワークでつながり、他国でおきた問題も、瞬時に世界中に広がる、まさに「世界は1個の運命共同体」であり、社会経済分野での「孤立化」は許されない。昨年来から地球規模で拡散していた新型コロナウイルス(COVID-19)は、人類の英知をあつめ解決手段を探っているがいまだ終息に至らず、ボーダレス社会の光と影をみた思いがする。
少子化による急速な人口減少と超高齢化という未曾有の危機にある日本では、高齢者が集中する大都市圏で社会保障サービスの担い手不足が深刻さを増している。総務省の『自治体戦略2040構想研究会』でも、2040年頃の課題予測として、大都市圏の医療・介護ニーズの急増、社会資本の更新等は待ったなし、新たに単身高齢者等の課題が浮き彫りになってきている。
「成長・拡大」を前提としたこれまでの制度や運用が機能しないことにようやく気づいたものの、市民、国民は既得権益にしがみつき、新たなリスクチャレンジを躊躇する――。そんな閉そく状況に陥った日本に、ようやく新たな成長を創る「社会経済モデル」があらわれた。それが「IR」だ。
開港160年を迎えた横浜にとっては、IRを「第2の黒船」といった印象をもつ市民が多く、IR(リスク)を避けることこそ、正しい選択だとする方々がいる。しかし、IRから逃げることなく成長を創るチャンスととらえるべきであり、横浜が『第2の開国』を目指すことこそ、今考えられる最良の都市戦略といえるのではないか。
IRは、世界200か国のうちすでに127か国が、OECD加盟35か国中でも30か国が、合法化している。わが国もようやく一昨年7月に「特定複合観光施設区整備法(IR整備法・カジノ整備法)」を成立させたが、日本におけるIR整備は、単にカジノを合法化するだけでなく、カジノ(全体面積の3%以下にすぎず)を含むホテルや劇場、MICE施設、ショッピングモールなどを集積させた複合施設によって、『魅力的な滞在型観光を実現し、地域経済の拡大、社会への還元』という意義があることを認識すべきだ。
私は、これまでにはない「新しいIR」への挑戦だと考え、それを「都市型IR(Integrated City Resort=ICR)」と呼ぶ。横浜市はイノベーション(革新)をおこす「横浜イノベーションIR」と呼ぶ。
新産業の創出で成長の起爆剤に
情報通信の進歩はめざましく、無線のスピードは過去40年で100万倍に高速化した。Society5・0と第4次産業革命は目前のゴールであり、AI(人工知能)やIoT、ロボット等の基盤技術によりサイバー空間とフィジカル空間(現実世界)を融合させた「超スマート社会」を実現するチャンスだ。候補地となる山下ふ頭47ヘクタールは、脱炭素化をめざす『ゼロカーボンヨコハマ』やAIやIoT、RPA技術を生かした新産業の創出(金融、サービス、ものづくり、物流、運輸)の実験フィールドとして期待できる。未来への投資を可能にするのが、横浜が目指すイノベーションIRであり、「都市型IR」なのだ。
現在、世界の国々・地域が、競って『観光・MICE』を成長戦略に掲げ、競争優位性確保に懸命であり、ボーダレス社会の中では、競争優位性を確保することでナンバー1が実現できる。
豊かさを享受してきた日本だが、気がつけば1人あたりの名目GDPは26位、経済成長率も191か国中163位に低迷し、先進諸国の中でもそのプレゼンスが失われつつある。リスクを恐れるがあまり、チャンスを失ってきたからだ。
『観光・MICE』は、経済成長するための最も有効な稼ぎ頭で豊かさの根源だ。積極的な投資が必要。『観光・MICE』は、ビジネスチャンスを広げ、新しい産業や雇用を創造する。シンガポールのリゾートワールドセントーサ(RWS)とマリーナベイサンズ(MBS)などでは1万人を超える雇用を生み、経済波及効果も半端ない。IRが少子化高齢化による市内経済の低迷を克服し、社会保障や都市インフラ更新などの財源を確保する有効な手段なのだ。
安全・安心の市民生活を守り、新たな成長を創る「IR」という都市戦略を持たなければ生き残れない時代で、現在、IR誘致を表明し、積極的に準備に取り組んでいる自治体が大阪府・大阪市であり、長崎県佐世保市であり、そして横浜市だ。東京都も虎視眈々と注視している。国際都市、開港都市として横浜の生き残る道は「都市型IR」によるイノベーションしかない。
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