金沢文庫芸術祭1DAYイベントの本部長を務める 井上 えつこさん 谷津町在住 45歳
直感に素直に生きる
○…「私が私になれる時間の始まりだった」。今年15回目を迎える「金沢文庫芸術祭」で総指揮をとる。イベントの企画から、出展者やボランティアの管理、来場者の対応など全体のまとめ役を担う。芸術祭誕生のきっかけになった「ASABAアートスクエア」の、デザイン教室に次女が通いだしたのを機につながり始めた世間。「ママ」でなく「私」として本部長を務め、5回目の秋を迎える。
○…愛媛県出身。「あなたにはいつも驚かされる」―。母がよく口にする言葉が性格を見事に表す。「直感で行動しちゃうから」と笑う。大学3年の時に突然、休学して1年間アメリカに渡ったことも。1998年にはその語学力を生かし長野五輪の通訳ボランティアに。ケニア選手団をサポートした。実は夫との出会いも直感。「あ、この人って初対面で分かっちゃったの」
○…東日本大震災発生から3カ月後、芸術祭実行委員の仲間に声をかけ「被災地ワークショップ」を企画。岩手県陸前高田市と大船渡市の避難所を訪れた。「あの頃は皆、何かしたいけど何が必要か分からなかった。口だけなら形にしたいって」。すぐに行動を開始し、友人や知人を辿って受入れ先探しに奔走。避難所では幅110m以上ある布に、子どもたちと色とりどりの絵を描いた。校舎が全壊し生徒会旗が流された小学校の旗を作り直したことも。「子どもたちを励まそうと行ったのに、大人の表情がどんどん明るくなった。来て良かったと思った」と話す。
○…「実行委員メンバーで話すと、今から新しいブースを作ろうとか、企画を変えようとか無茶な注文が多いけど、なんでもやってみようという土壌があるのが良いところ」と溌剌と話す。現在は子どもの頃からの夢だったというドラムでバンドを結成。芸術祭の打ち上げでライブを行う予定だ。「次の目標は大好きなアメリカで仕事をすること」と笑顔がこぼれる。自分の直感を信じて歩んでいく。
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