きょう19日、関東学院大学の学長に就任する 規矩 大義(きくひろよし)さん 横須賀市在住 50歳
「学生の応援団長に」
○…50歳―若い学長が誕生した。「関東学院大学は変化を望んでいるんだなと思った」と穏やかな表情で話す。専門は地盤防災工学。「理系畑」の人だ。しかし常に心に持つ信念は「物質」や「機械」の前に「人」に向き合うということ。「学長室に留まっていては駄目。学生と接しなければ何も面白くないじゃない」。肩書が変わっても、「人」に向き合う姿勢は変わらない。
○…兵庫県出身。日本の地形、地名を覚え、電車の時刻表を開いては旅気分を味わう「不思議な子」だった。大学で土木に進むと思いがけない言葉と出会う。「ものを扱う前に人を動かす。その先に社会が見えてなければならない」―恩師の言葉に従順に過ごした大学生活。「遊んで帰って、寝ると授業は大体終わってる。先に人付き合いの勉強をして本来の勉強は後回し」と笑う。仲間や恩師、大学の環境に「育ててもらった」という思いが強い。「30年40年経っても血となり肉となり残っている」
○…没頭したテーマが地盤防災。地盤にまつわる調査で全国を飛び回った。「日本中行ける、とこっそり嬉しかった」と幼い頃の記憶を蘇らせる。大学院終了後、産官学全てを経験し同大へ。就職した新人が仕事に誇りを持てない姿を見てきた。学問に興味を持てるような踏み込んだ教育が必要と訴える。教壇に立つ授業はたった1割だ。「四六時中、学生と一緒。でも目線を下げることではない」と話す。一緒に答えを探す父親のような存在。今も月に数人、卒業生が訪ねてくる。誇りを持って働く教え子の姿を見ることが、何より嬉しい。
○…「ここで育ったという思いを残せなければ大学としての値打ちはない」。知識を詰め込むのだけではない、自分が味わったような充実感を与えたい。「人のことを考えられる人になってほしい」と優しい眼差しを向ける。役割はいわば「関東学院大学の応援団長かも」。学長室を飛び出し「人」と関わっていく。
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