東洋電機製造の社員でこのたび「卓越した技能者(現代の名工)」を受賞した 小室 寛二さん 福浦在勤 57歳
人の役に立てる技術者に
○…厚生労働大臣が年1回、その道の第一人者を表彰する「卓越した技能者」は勤務する東洋電機製造の中でも19年ぶり2人目の受賞となった。「簡単にもらえるものではないので、ありがたい」と照れた笑顔を浮かべる。入社以来38年もの間、一貫して鉄道車両用電動機や産業用発電機・電動機の製作に携わってきた。「歴代の新幹線をすべて手掛けてきたのは自慢」と胸を張る。
○…宮城県出身。幼い頃から手先が器用で、少年時代はプラモデルや工作などに熱中した。将来は「自分の手で何かを作る仕事がしたい」という漠然とした憧れを抱いていたという。その気持ちは進路を選択する時も変わることはなかった。就職では「モノづくりの会社」を第1条件に学校の紹介で「技術の東洋」といわれる同社を選んだ。「電車はみんなが使う乗り物。人の役にたてる充実感がある」。社会を支えるインフラ整備に一役買っている責任感がにじむ。
○…電動機のコイル製作の技術が認められ2010年、神奈川県の卓越技能者に。その後、同社の電動機製作全体を統括してきた。現在、電動機に求められるのは小型化・軽量化。「馬力を出すためにはそれなりの電線の太さやコイルの大きさが必要。ミリ単位で小さくしないと」。コイルの寸法出し作業や使用に応じた絶縁材料の選定、部位に応じた絶縁方法の決定など設計の段階から関わり、顧客の要望に対応する。
○…今年11月、長年親しんできた現場を離れ、人事部に異動した。高校を卒業した新入社員に11カ月かけて必要なスキルなどを教え込む。「ホントは現場の方が好きだけど」とポロリ。それでも自身が培ってきた技術を次世代に伝えたい気持ちは強い。「受賞するような技術者を育てられれば」。同社は再来年に創立100周年を迎える。「会社を維持するのは、結局は人間だから」。モノづくりを支える矜持がにじむ。
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