ラオスの織物や文化を伝える「PaTu」(パトゥ)の代表を務める 相馬 淳子さん 金沢区柴町在住 53歳
”縁の糸”が織りなす人生
○…ラオス語で「扉」を意味する「PaTu」を立ち上げ、現地の織物や文化を伝える販売会を不定期で開催する。ラオスの織物は国内では買い手が少なく、その生活の苦しさから離職する作り手も少なくない。「織る人がいなくなれば、伝統も消える。ラオスの作り手と日本を繋ぐパイプ役として、出来ることを続けていきたい」と話す。
○…初めて織物の美しさに魅了されたのは20年以上前、夫の仕事の関係でガーナに滞在していた時だった。以来、各国の織物に触れる中で「いつか織物文化を学びたい」という想いが膨らんでいった。2016年、人の縁が重なり導かれるようにラオスに移住し、織物文化を学び始めた。丁度、長女が大学生、次女が留学するタイミングで、「行くなら今しかない」と小学生だった末っ子を連れて海を渡った。
○…当初は1年のつもりだったが、学びきれないと19年まで首都ビエンチャンに滞在。NPO法人の運営する図書館や学校で、元中学校の理科教員の知識を生かした実験教室などを行いながら、織物の学校兼工房で勉強を続けた。「想像を超える子どもの能力に驚くことが多く、刺激的な活動だった」。植物や昆虫で天然染色した糸を使い手織りするラオス伝統の織物で、成人式を迎える娘に着物の帯を織ったことはいい思い出だ。
○…「こんなに長く、織物と関わるとは思わなかった」と感慨深げ。現地の工房の職人にアンケートをとった結果、全員が「伝統的な織物を残したい」と回答してくれたことも、活動を始める原動力となった。「それなら、私は皆が作った織物が世に出ていく”扉”の役割をしよう」と現在の活動に力を注ぐ。様々な人との縁が糸のように合わさり、人生という織物を彩っていく。
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