「これまで日野団地は『迷惑をかけない』が理念だった。だが今は『おおいに迷惑をかけて生き抜こう』と方向を転換した」――。こんなユニークな方針を打ち出しているのが、県営日野団地(日野中央)の住民からなる日野団地自治会だ。
同自治会の田中健三会長によれば、「65歳以上の居住者が54%を占める超高齢団地」。単身者も多く、数年前までは年に2人ほどが孤独死となる状況にあったという。「迷惑をかけないように、ということばかり考えていると他人との関わりも避けるようになってしまう。迷惑をかけてもいいから、外に出てきてほしい」と田中会長は新方針の意図を話す。
先月17日に行われた日野地域の意見交換会の席上では、田中会長から経緯と取組が説明された。団地が誕生した1970年当時は子育て世帯も多く、幼稚園児から中学生まであわせて約1200人の子どもが団地内に暮らしていた。その後、県の条例変更により「世帯主の死亡後に子どもが住み続けられなくなった。それが大きな原因の1つ」。
団地に活気を取り戻そうと、新方針のもと防災避難訓練で高齢者の外出を促し、両隣同士の見守りも推進した。その結果、直近5年間の孤独死は1人にとどまっている。「こんな状況だけど私たちはめげていない。まだまだ夢の途中」と田中会長は力強く語った。
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