金沢動物園先崎さん サイ救済の役割担う 1月には新たな命も
今年注目の動物といえば干支のウマ。あの競走馬のような姿を思い描きがちだが、実はサイも奇蹄目に分類されるウマの仲間だ。
ガチャン、ガチャン――金沢動物園(金沢区)のインドサイの飼育部屋に大きな音が響く。「あんな図体なのに甘えん坊。人が好きなんです」と話すのは飼育担当の先崎優さん(28)。雄のキンタロウ(30)が鉄格子に頭をぶつけて先崎さんを呼ぶ音だった。推定3トンの体をすり寄せて「撫でて」とアピールする。
同園には2頭のインドサイがいる。雌のゴポン(14)は今月中旬に出産予定だ。現在、日本で飼育されているインドサイはこの2頭を含め8頭しかいないという。
先崎さんが2頭の担当になったのは4年前。動物園のインドサイは足の裏を悪くし易く、その保護が世界中の課題だった。コンクリート上で飼育されていたキンタロウも両後足の裏が割れ、爪も曲がって生えるため踵をついて歩く状態。先崎さんはキンタロウを救うため試行錯誤を重ねた。「水辺で暮らす生きものなので、湿地帯に環境を近づけようと思い立った」と話す。
飼育場はコンクリートをはがし、足が沈む柔らかい地面を再現するためウッドチップに。寝室には高さ50cmほどの藁を敷き詰めた。微生物の働きで温かく、自然分解作用で環境にも優しい。キンタロウの足も次第に回復している。
サイは現存する5種全てが絶滅危惧種。最大の原因は角を狙った密猟だ。アフリカでは10時間に1頭が死んでいるという。日本の窓口として、サイの現状や魅力を伝える役割を担うのが先崎さん。ゴポンのお腹にいる新しい命は希望の光だ。「世界にとって大事な一頭。元気に生まれてほしい、ただそれだけ」
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