横浜中保護司会の新会長に就任した 藤平 保之さん 中区三吉町在住 66歳
心に寄り添い更生支える
○…犯罪や非行に走った人の地域社会での更生を支えるボランティア「保護司」。中区内の保護司35人が所属する「横浜中保護司会」の会長に就任した。今月21日に区内で予定されている「社会を明るくする運動」の準備などで慌ただしい日々が続き「こんなに忙しいとは思わなかった」と苦笑しながらも「更生保護の重要性を多くの人に知ってもらうとともに、担い手も充実させたい」と意気込む。
○…「先輩から頼まれて内容もよく分からないまま引き受けてしまった」と保護司となったのは平成2年。保護観察中の人との面談や釈放後の受け入れ先の確保など、多岐にわたる仕事を誠実にこなしてきた。その支えとなったのは知人の警察官の「彼らは『加害者』だけれど、不幸な家庭環境や貧困の『被害者』であることも多い」という言葉。「これ以上の『被害者』を増やしたくない。安心できる居場所や仕事など先々への希望があれば必ず立ち直れる」。穏やかな口調に強い信念がのぞく。
○…出身は綾瀬市。25歳で結婚し、義理の父が創業した「藤平竹材店」へ。建材の需要が少なくなると見るや料理店の食器や装飾へと商品を転換し、事業を発展させてきた。すでに経営は長男に譲り「悠々自適」と思いきや、保護司以外にも防犯指導員、町内会役員を務め多忙を極める。それでも「必要としてくれる人がいるのなら、それに応えたい」とあくまで自然体だ。
○…学生時代から「巨樹巡り」が趣味で、日本全国はもちろん世界中を飛び回ってきた。「魅力はやっぱり風格ある佇まい。火事や水害から守ってくれた、という伝承も多くて地域では単なる『木』を超えた存在になっている。もし彼らが言葉を話すとしたら、どんなことを語るんだろうね」。カタチのないものに思いを馳せ、それに寄り添う優しさが言葉と振る舞いの端々にあふれる。地域でその優しさを必要とする人はまだまだ多そうだ。
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