57年間の音訳活動が評価され、文部科学大臣から「社会教育功労者表彰」を受けた 新井 曉美さん 中区根岸町在住 78歳
「読む楽しみ」声で届ける
○…「本当に私がこんな素晴らしい賞を頂いていいのかしら」。大きな笑顔でハキハキと楽しそうに話す姿が印象的だ。視覚障害者の読書方法として点字が主流だった1958年から、音訳者の先駆けとして活動を開始。以降、57年間にわたる活動が評価され、11月2日に文部科学大臣から「社会教育功労者表彰」を受けた。「これまで指導してくれた先生方や仲間みんなで頂いたと思っています」
○…東京蒲田の生まれで音訳に出会ったのは21歳の時。幼少の頃から朗読や演劇が好きで、将来は声優をめざしていた。校内放送のナレーションが楽しくて高校、大学では放送研究会に入り、NHKのラジオドラマに出演したことも。そんな時に出会ったのが自宅を改装して日本初の点字図書館を開いた本間一夫氏。「何でも好きな本でいいから読んでごらん」と言われて選んだのが『人魚姫』。まだ音訳図書がほとんどない頃で、テープの返却を拒む人が出るほど人気になり、電話口で涙ながらに感謝されることもあった。「こんなに人に喜ばれる仕事があるなんて。天職に巡り合ったと思いました」。出身の慶應義塾大学で職員として働きながら、音訳のボランティアに傾注していった。
○…28歳で結婚し、夫の実家のある中区へ。長男出産直後は育児に専念していたが「いつか音訳に戻ろうとずっと考えていた」と赤十字や横浜市社会福祉協議会などで音訳を再開。社協所属の音訳グループ「やまびこ」の会長も務め、28年前からは市立図書館でも活動し、これまで100タイトル以上の録音図書の作成に携わった。「できるだけ主観を入れず、写真や挿絵も細かく説明していく。今後は私が学んできたものを後進の育成に役立てたい」
○…「活動を続けてこられたのは家族のおかげ」と感謝を口にする。「点字では伝えきれない作者の想いを届けたい。これからも声が続く限り、続けていきたい」と笑顔で語った。
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