市中央図書館で花火写真展を開催中の煙火写真家 伊東 洋さん 神奈川区在住 69歳
花火に魅せられて50年
○…夏の夜空を染める花火。「色も音も広がりも、花火師の性格が出るんだ」。その魅力にとりつかれて50年。これまで撮影した作品の中で、みなとみらいや山下公園、八景島など、横浜の夜空に打ちあがった花火写真をまとめ市中央図書館で写真展を開催している。
○…愛媛県宇和島市出身。19歳の頃に移り住んだ横浜で、生まれて初めて大規模な花火大会を見た。「大きな音と広がりが、どれも衝撃的だった」。少年の目に映った花火がすべての始まり。それからは全国各地の花火大会をとにかく巡った。「どこの花火が良いのかってよく聞かれるんだけど、女房、子ども、親の誰が一番大事かって聞かれるのと同じくらい難しい」とはにかむ。25歳の頃から花火のお供にカメラが加わる。書籍を読み人から教わり、何度も失敗しながら花火の美しさを撮り収めてきた。「色を忠実に表現できるから」とこだわり続けるフィルムカメラ。花火師が夜空に描く芸術を、できるだけそのままの色で残したいという、それもまた職人の心意気なのだろう。
○…名刺に並ぶもう一つの肩書きは「煙火史家」。「昔は昼間に打ち上げる花火が主流だったんだ」。その歴史にもまた魅了され独自に調べあげるうち、ある人物の名前に巡り合う。明治期に西洋花火の大量の製造と打ち上げに成功した横浜(中区太田町)の花火師「平山甚太」だ。甚太を巡るキーワードを見つけては、各地に足を運びその足跡を辿った。平成18年にはそれをまとめあげた『横浜花火年表』を著した。「昭和の末まで甚太の足跡はわかっているんだけど…」。まだまだ片思いは続いているようだ。
○…「今年は震災の影響もあって花火大会も中止が多いんですよね」。シーズンを迎える中、例年に比べて静かな夏の夜空に少し寂しそう。「花火は元々、狼煙(のろし)だったんだ」。古くから人々を楽しませてきた花火。今年は各地で復興を告げる狼煙となってくれるだろう。
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