第43回技能コンクール・印章彫刻の部で職能協会長賞を受賞した 椿山 幹夫さん 中区花咲町在住 24歳
技術極め本物を多くの人に
◯…県内の若手職人が技術を競う技能コンクール印章彫刻の部で、2位となる職能協会長賞を受賞した。3時間半の制限時間内に、雪の結晶を意味する「六花」を彫り込む課題に挑戦、その正確な技術が評価された。それでも「本当は優勝を狙っていたので残念です」。満足感と悔しさが入り混じった表情を浮かべる。
◯…岡山県出身。高校卒業時に人生の選択を迫られた。父が営む印章店を継ぐのか、別の道に進むのか―。悩み抜いた末に継ぐことを決意。中央大学商学部を卒業後、昨年4月に鶴見の印章訓練校に進学し、職人としての道を歩み始めた。直径1センチほどの空間に文字を彫り込む印章彫刻の世界。「同じ書体でも線の質によって印象が全く変わってしまう」。技術の奥深さに魅了され、それを極めることを目指す。「結婚や家の購入などハンコは人生の重要なシーンに欠かせないもの。だからこそ手触りや押し心地がいい本物を持ってほしい」と話す姿には職人のプライドがのぞく。
◯…訓練校進学と同時に中区吉田町で創業から126年を数える老舗印章店「実門堂」に研修生として入社。平日は営業に駆け回る。先輩社員とともに得意先を回るほか、飛び込みでオフィスなどを訪ねて商品を広げることも。激安品が出回るなか結果は思うように出ないが「まずは元気よく挨拶すること。商品の見せ方も工夫しています」とその試行錯誤を楽しんでいる。「販売と技術は経営の両輪。すごくいい経験をさせてもらっています」と話す表情はどこまでも明るい。
◯…息抜きは小学生の頃から続けている剣道。忙しい合間をぬって地元の道場に週2〜3回通う。特に武道の考えを表す「守破離」という言葉が好きという。「今は先生のいう技術を守り身につけることが大事。でもいつかは自分ならではの技術を身につけたい」。迷いや不安はもちろんある。それを振り払うためにも、精進の日々が続く。
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