11月30日に軽井沢コミュニティハウスで演奏会を行う津軽三味線師範の 廣原(ひろはら) 武乃(たけの)さん(本名:永井久乃) 西区北軽井沢在住 72歳
三味線の音に救われた
○…力強い演奏が特徴的な、津軽三味線廣原流の師範。弟弟子とユニット「びーじーず」を組んで、市内各地のイベントや介護施設などで演奏している。今回は自宅そばのコミハで、自分たちが主役の演奏会。「普段は演奏だけ考えればいいのだけど、集客のこととか…緊張しています」と少し弱気な姿を見せる。
○…東京出身。大学卒業後、結婚に伴い大阪・枚方へ。夫の仕事の都合で今から約35年前、横浜にやってきた。55歳頃に病を患い、それまでやっていた塾の仕事や運動ができなくなってしまった。幸い身体は回復したが、心は沈んだ状態のまま。そこに響いたのが、テレビで流れていた「吉田兄弟」の力強い津軽三味線の演奏だった。「あーすごい元気が出そう!」と心を動かされた。しばらくして県民ホールで吉田兄弟の生演奏を聴き「自分もやってみよう」と決意。電車の窓から見えた邦楽器店を訪れ、見習いから稽古を始めた。「力強く、感情を込めてぶつけるように弾くのが津軽三味線の魅力」と語る。
○…還暦を前にしての一念発起。30歳手前の若い師匠の下で全国大会団体の部で入賞を果たすなど実力が認められ、3年前に師範就任を打診された。「年だから…」と遠慮する思いをかき消したのは、長年連れ添った夫。「自分のことのように喜んで、有難いから受けなさいと。後押しが嬉しかった」と振り返る。
○…背中を押してくれた夫はその後ほどなく昏睡状態となり、意識の戻らぬまま今年の初めに旅立った。去年の春、家の前に咲く龍のような桜の大木を眺め「お父さんが歩けるようになってまた花見ができたら」との想いを込めて曲を作った。「桜龍(さくらたつ)」と名付けたその曲は、今回の演奏会でも披露する予定だ。
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