宮前ガバナンス7月号 連載寄稿 文化芸術を生田緑地から発信へ! 〜新たなミュージアムに関する基本構想〜川崎市議会議員 石田 やすひろ
川崎市市民ミュージアムは、本市の貴重な郷土資料や芸術的な絵画やポスター、漫画、写真などを保管・展示する博物館機能と美術館機能を有した複合施設として、等々力緑地内に昭和63年に開館しました。令和元年東日本台風によって、地階収蔵庫が浸水し、約24万5千点の収蔵品が被災し、それ以降休館となっています。今年5月に「新たなミュージアムに関する基本構想」を策定し、事業展開の方向性を示しつつ、新たな開設候補地として「生田緑地ばら苑隣接区域」を位置付けました。
市民ミュージアムの浸水被害の原因は、多摩川が計画高水位を超える過去にない水位となったことなどにより、多摩川へ排水される量が減り、その影響としてマンホールなどから溢水したものと考えられており、立地環境に課題がありました。 川に接する等々力緑地の地下に、収蔵品を保管していた点は、検証を必要としました。ハザードマップの被害想定区域外を、基本構想の最優先の条件としました。多摩丘陵の一角をなす生田緑地であれば、災害に対するリスクを低減します。
また、生田緑地の周辺には多数の文化施設が集積しています。エリアには、川崎市藤子・F・不ニ雄ミュージアム、かわさき宙と緑の科学館、川崎市岡本太郎美術館、周辺施設をつなげば、集客の相乗効果も期待できます。そこで課題となるのが、アクセスと回遊性の確保策です。新たな遊歩道の整備も必要です。
本市は、令和6年3月に「生田緑地ビジョン」の改定と、最短の想定ではあるものの同時期に(仮称)「新たなミュージアムに関する基本計画」の策定を目指しています。本市の誇る生田緑地の豊かな自然と文化芸術の融合を図り、本市のポテンシャルを高めたい考えです。今後は、議会においても、生田緑地へのアクセスと回遊性を高めるための議論を行います。市民ミュージアムの移転は、エリアの賑わいの創出や魅力の向上に貢献します。宮前区に隣接する緑地ともあり、宮前区側からのアクセス策も検討してまいります。
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10月4日