世界的にも珍しい貴重なコレクションが町田市に――。町田市立博物館(本町田3562)は現代ガラス作家、大平洋一氏から世界最古のガラス技法書とされる「ラルテ・ヴェトラリア(ガラス製造術)」の初版本を含め、89点のガラス関係資料を受贈したと発表した。
工芸美術に強い館として知られる同博物館。岩田ガラスやボヘミアングラス、中国ガラスなど1000点近くを所蔵し、ガラス工芸の分野では関東随一の公立館として市外にもその名をとどろかす。1980年代から20以上の展覧会を開いてきた。町田市民のみならず、今回のように市外の方から寄贈の申し出を受けることもあるという。
世界的なガラス作家で東京都出身の大平洋一氏は1973年にヴェネチアに渡り、ヴェネチア美術学校の彫刻科を卒業後、現地のガラス職人たちと共同作業による作品制作を開始。その作品はアメリカのメトロポリタン美術館、ボストン美術館などに収蔵されている。町田市立博物館によると「ガラス工芸担当の学芸員と交流があり、昨年の夏に受贈の申し出があった」という。
主な受贈資料はアントニオ・ネリ著「ラルテ・ヴェトラリア」の1612年に出版されたイタリア語初版本3冊や62年の英語版初版本、68年のラテン語版初版本、1752年のフランス語版初版本を含む全19冊。資料の貴重性として、国外流出を防いできたヴェネチアの秘術が国外に流出するきっかけになったことがあげられる。この本が出版され、各国語に翻訳されたことで近隣諸国に透明ガラスの作り方や色付け法の秘術が広まり、ヨーロッパでガラス製造がその後の大発展を遂げることになった。
特にイタリア語初版は国立国会図書館やイギリスの大英図書館にも所蔵されておらず、これだけまとまったコレクションは世界的に珍しい。評価額としてイタリア語初版は200万円ぐらいの価値があり、受贈品の総額は1700万円相当になるという。
博物館としては様子を見ながら、来年以降には一般に公開したい考えだ。
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