小野路宿里山交流館で11月14日、伝統の藁細工による「亀作り」が行われた。市内在住の中村勝保さん(92歳)が参加者に注連縄の技術を伝承し、参加者と一緒に健康と長寿の祈りを込め、「亀」を仕上げた。
「古来からの伝統を守ろう」「後継者を作ろう」という動きは里山構想で知り合った小野路町周辺住民で広がった。NPO法人日本郷土史研究会(岸芳男代表)が主導し、郷土の歴史と伝統文化を後世に伝えようと講習会を企画。その初回がこのほどの「亀作り」。
ボランティアで講師として参加したのが中村勝保さん。手、足、口を器用に使いしっかりと亀を締め上げていく。1923年産まれ、92歳の中村さんは「昔は色んな所で作っていて、みんなで編んでいたんだよ」と話す。定年後、小田原の鈴廣(かまぼこ土産店)で偶然目にし、その懐かしさから技術を再び習得した。
岸代表は「食の欧米化が進む中で、昔から日本人を支えてくれたのが米で、それを創りだす命と言えるものが藁。お米に対する感謝の気持ちを再認識した」と話す。農業の省力化と需要の低下に伴い、以前より見られなくなった藁だが、昔ながらの農法を守る地元住民が持ち寄った。
「鶴は千年、亀は万年」という言葉から、縁起物として正月などに長寿への祈りを込め、作られ使用されてきた注連縄で作る亀。「本来のこういった縁起物はできたものを買ってくるのでなく、幸せへの祈りを込めて作ってこそというものなんです」と岸代表は説明する。参加者は慣れない作業に苦戦しながらも中村さんに締め方のコツや手順を確認。「懐かしい。歳を重ねてもこうして皆でやると楽しめるっていうシンボルみたいなものだよね」と話していた。
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