天国からの物語 書籍化 出版社「宮沢賢治をほうふつ」
生涯の大半を大和市で過ごし、約4年前に病気で他界した故・斎藤慎一郎さん(享年67歳)の残した児童文学書2冊が、このほど晶文社から出版された。クモや虫、民俗学に造詣が深く、『在野の学者』として活動した同氏の初の児童向け作品となる。
出版されたのは全2編の「星雲ミカの小さな冒険」。1冊目が、主人公の星雲ミカがいたずらっ子たちと学級新聞を作るために奮闘する「『鳥へっぽこ新聞』誕生篇」。2冊目が、病気で車椅子に乗る少女をクラスにどう迎えるかを考える「久里マリアさんへの手紙篇」だ。
植物やクモに関して10冊を越える本を執筆し、大日本図書から出版された「クモ合戦の文化論 伝承遊びから自然科学へ」では、厚生省児童福祉文化奨励賞を受賞している同氏にとって初の児童文学書。それでも、文中でツバメや蝶の生態に詳しく触れたりと、ナチュラリストならではの視点が盛り込まれている。
いずれの作品も、書き上げられたのは15年ほど前。妻の好子さん(62歳)が晶文社に送った段ボール1箱分の遺稿の中から、編集担当の倉田晃宏さん(41歳)の目に留まった。「原稿を読んで素直に面白いと感じた。宮沢賢治をほうふつとさせる力強さがあった」と倉田さん。出版業界では一般的に、作者が存命ではない作品は売り出しにくいとされる。それでも「形として残したい」との思いから、好子さんの協力を得て3年の歳月をかけて出版に至った。
「夫が書いた初の児童文学書。小学生のお子さんだけでなく、中高生や大人にも読んでほしい」と好子さん。定価はいずれも1680円(税込)で全国の書店で購入が可能。図書館協議会選定図書、日本子どもの本研究会選定図書でもある。問い合わせは晶文社/【電話】03(3518)4942。
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